ビートルズ来日60周年で思うこと

The Beatles wave to fans after disembarking a plane at Kennedy Airport.(出典 Wikimedia commons) 雑感
The Beatles wave to fans after disembarking a plane at Kennedy Airport.(出典 Wikimedia commons)

 ビートルズが来日して今年で60周年ということで、大いに盛り上がっています。ビートルズ・フリークの私としても嬉しい限りです(笑)。

 来日したのは1966年6月29日、公演は日本武道館で6月30日から7月2日までの3日間で、計5回。運良く会場で観覧出来た当時のティーンエージャーも今や70代後半になっておられることでしょう。

 私自身は団塊の世代の少し下の世代なので、当時小学生でしたが、上に兄と姉がいるので、早くからビートルズを知って聴いておりました。来日する頃、自宅近くの本屋さん「コウヤマ」に行くと、「ビートルズ来日特集 臨時増刊号」なる週刊誌が何冊も店頭に並んでいて、立ち読みしたことを覚えています(笑)。

「抱きしめたい」と意訳

 昨日発売の週刊新潮の「日本公演『60周年』記念対談 新田和長×高嶋弘之 『ビートルズ』熱狂の舞台裏」という記事を読んだら、音楽プロデューサーの新田氏は1945年生まれの81歳、当時、日本でビートルズのレコードを発売していた東芝音楽工業のディレクターの高嶋氏は1934年生まれの92歳で、お二人ともいまだに現役でご活躍中だということで驚いてしまいました。

 特に高嶋氏は「ビートルズの仕掛け人」として有名で、当時の苦労話なんかも語っています。また、ビートルズのシングルとして日本で最初に発売された”I wanna hold your hand”を「抱きしめたい」(1964年)と意訳して発表したのはこの高嶋さんだったとは知りませんでした。「『君の手を握りたい』と直訳してもインパクトがないからね」という彼のアイデアでした。

 しかしながら、アルバム「ラバーソウル」(1965年)に入っている”Norwegian wood”(ノルウェー製家具)を「ノルウェーの森」としたことについては、「私の大誤訳でした」とあっさりと認めておりました。

 そう言えば、ジョン・レノンがソロになった時、”Cold turkey”(1969年)を、日本では「冷たい七面鳥」と「翻訳」してリリースされましたが、本来は、薬物中毒の「禁断症状」という意味ですから、これも大誤訳だと思います。当時はネットもないし、スラングも掲載された英語の辞書もなかったせいなのでしょう。今では、これだけ英語辞書の環境が整ったというのに、洋楽のタイトルのほとんどが翻訳されず、カタカナで表記する味気ないものになってしまいました。洋楽が下火になるはずです。

「万年青年」、音楽評論家の北中正和氏

 ところで、私の敬愛する音楽評論家、北中正和さんが最近、立て続けに朝日新聞に登場されていたので久しぶりにメールしてみました。北中さんには30年以上昔、ワールド・ミュージックの取材でお世話になったことがあり、その後、おつな会などで度々お会いしていました。

 朝日新聞の記事の1本目は、最近亡くなった美輪明宏さんの訃報にまつわるコメントで、2本目は「コンスタンチノープル」というワールド・ミュージックのバンドの音楽評でした。北中さんは2021年に新潮新書から、私も良く知る編集長(当時)の安河内龍太先生の肝煎りで「ビートルズ」の本も発表しており、「著書多数」の人です。その北中さんは著書等で経歴を明らかにしていますが、1946年生まれの今年80歳です。いまだに元気にご活躍されているので、久しぶりにメールをしてみたのでした。

 そしたら、北中氏からわざわざ返信があり、「いまだに仕事をしているのは、いくつになっても『青さ』が抜けないのと、ボケ防止の効果も少しはあるかと。」といった軽妙洒脱なお答えでした(笑)。

 確かに、北中さんは、見た目が若く、「万年青年」みたいなところがあります。是非とも見習いたい人生の大先輩です。

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