プーチン大統領が択捉島を電撃訪問 ロシア嫌いに拍車?

北方四島(出典 Wikimedia commons) 雑感
北方四島(出典 Wikimedia commons)

 ロシアのプーチン大統領が8月13日に、北方領土の択捉島を電撃訪問しました。国際法に違反し、81年間不法占拠中だった北方領土にプーチンが足を踏み入れるのは初めてです。何で今、この時期に?と、何で択捉島なのか?といった疑問について、専門家の皆さんが色々と述べていらっしゃるので、私の出る幕はありませんが、ロシア側が北方領土に「領土問題はない」と主張する根拠として、「ソ連が日本から多大な犠牲を払った」とする根も葉もない大嘘だけは看過できないので、そんなロシアの歴史修正主義者たちに鉄槌を与えたいと思います。

「日本から多大な犠牲を払った」は大嘘

 第一に、先の大戦中、日本とソ連は日ソ中立条約を締結していたので、一戦も交えていませんでした。ドイツから要請があった「東西挟み撃ち」も断って、北進ではなく南進政策に決めたほどです。むしろ、大戦末期に、日本はソ連に連合国との休戦仲介を期待して近衛文麿元首相を特使として派遣する和平工作を進めていました(後世から見るとアホみたいな話です)。ソ連側が応じなかったのは、1945年2月のヤルタ会談での密約(ドイツ降伏後、2〜3カ月でソ連は対日参戦する)があったからでした。

 密約通り、ソ連スターリンは1945年8月9日、日ソ中立条約を一方的に破棄し、満洲、樺太、千島列島に侵攻開始し、多くの日本の民間人まで虐殺し、60万人もの兵卒をシベリアに抑留し、奴隷のように働かせてその1割の6万人を死亡させました。

 このような残虐行為はロシアの学校の教科書には載っていないことでしょうが、これは史実です。要するに、ロシアは、19世紀以来の「不凍港」を求めた覇権主義と40年前の日露戦争での敗北の復讐心で、北方領土を不法占拠したに過ぎないのです。しかも、日本は広島に原爆を投下されるなど弱り切ったところでした。「火事場泥棒」と言われても否定できません。

 そんな 日本人の国民感情を無視してプーチン大統領が択捉島に電撃訪問した背景には、長引くウクライナ戦争で支持率低下があり、「強い政権」を見せつける起死回生策だったというのが一番近いでしょう。英政府通信本部(GCHQ)によると、ウクライナ侵攻後のロシア兵の戦死者は既に約50万人に上るといいます。

 また、今年9月18〜20日に、ウクライナ侵攻後としては初となる、5年に1度の下院議員選挙(国家院選)を控えています。プーチンを支える与党「統一ロシア」は、インフレに伴う経済的圧迫や長引く戦況への不満などから支持率が30%台前半と過去最低水準になっているといいますから、プーチンは相当追い込まれていることは確かです。日本人の感情なんかに構っていられません。

 択捉島は、1941年11月、真珠湾攻撃に向かう大日本帝国海軍の機動部隊(第一航空艦隊など)が極秘裏に集結した島でした。この史実をプーチンは知っていて、選んだのかもしれません。

「土足で座敷に踏み込まれた感じ」

 ニュースで、択捉島の元島民の方が「土足で座敷に踏み込まれた感じがする」と述べていましたが、先祖の墓がある島民にとっては許し難いことでしょう。

 私も、ますますロシア嫌いになりましたが、日本政府は駐日ロシア大使を呼びつけて抗議するだけで終わってしまうのでしょうか?外務省と内閣府の資料によると、北方四島には約1万8000人のロシア人が住んでいるようです。勿論、ロシア陸軍の「第18機関銃・砲兵師団」など主力部隊(約3500人)が駐屯しています。

 まさか、戦争するわけにはいかず、「実効支配」の壁は厚いです。

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