1990年代後半からのインターネットの普及によるIT革命は、情報技術革命とも言われ、その「技術革新」のみに注目されていました。しかし、よくよく考えてみれば、伝達方法が紙や電波からデジタルに変わっただけで、手紙やテレビとは違って、安易に国境と言語の障害を乗り越えて情報が拡散され、世界の政治と社会に「情報革命」をもたらしたことの方が大きいかもしれません。
例えば、紙・電波時代は、モノづくり産業が盛んで資本家と労働者との格差はありましたが、IT革命によるデジタル産業の隆盛時代になると、その格差が半端じゃありません。デジタルメディアXも所有する世界一の「兆万長者」イーロン・マスク氏の資産額は176兆円で、毎日100万ドル(1億6000万円)使っても、使い切るのに3000年以上掛かるといいます。卒倒しますよね?
米国では上位1%の富裕層が米国全体の富の3割以上を握っている(米誌フォーブス)そうですが、その富裕層のほとんどが、デジタル技術で恩恵を受けている投資銀行家か、大手テック企業の幹部です。モノづくり産業は衰退しました。
コンピューターは0と1の世界ですから、all or nothingの世界です。紙・電波時代より遥かに富が少数に集中するのはデジタル社会の当然の帰結です。
「声なき声」の意見が反映?
その半面、デジタルによる情報革命は、SNS等で誰もが気軽に発信でき、世論さえ動かすツールになり得ました。紙・電波社会は、一応、プロと呼ばれるジャーナリストが情報発信の担い手でした。
それが、名もなき、か弱い庶民でさえ、自分の言いたいことを発信し、政治に影響すら与えるようになりました。言わば「声なき声」が反映されるようになった、と解釈できるかもしれません。
嘘と詐欺広告まみれのサイバー空間
しかし、そこには落とし穴があります。巨大テックによるアテンション・エコノミーによって、注目されれば何でも良いという動機から、極論や嘘や虚実や詐欺行為までもが拡散されるようになったからです。国際ロマンス事件に繋がったり、SNS型投資詐欺も多発しています。
巨大テックは、それが嘘や詐欺だろうと知ったことがありません。FacebookのザッカーバーグCEOがその代表例です。彼は結局、詐欺情報を削除する煩雑な労苦を拒否しました。要するに、巨大テックは、これらのいかなる情報を、たとえ秘密の個人情報でさえも無料で仕入れて、膨大なビッグデータを作って、挙げ句の果てには人工知能(AI)にまで仕立て上げて、また丸儲けしようと謀っています。AIには莫大な情報処理が必要ですから、周囲の住民に悪臭と騒音を撒き散らすデーターセンターの建設に余念がありません。
今の人類は、人間の思考でさえも、感情のない無機質なAIに委ねようとしています。そこまで果たして、SNSもAIも、人類にとって必要なのかしら?
「声なき声」のつもりだった庶民は、いつの間にか、「デジタル農奴」階級にまで貶めら、さらに極貧生活を強いられているのにさえ気が付かず、せっせと貴重な個人情報と富を巨大テックに貢いでいるのです。
ご苦労さまです。

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