先日の渓流斎ブログで、「古海建一著『満洲国の話』を読んで」を取り上げました。古海さんは、満洲研究家の松岡將さんの友人で、一般社団法人国際善隣協会の理事長を務めた方だったこともご紹介しました。

国際善隣協会は「満洲交友会」が前身で、東京・新橋に本部があり、かつて、私もここで開催される講演会に30回ぐらい参加したものでした。コラムを書くためです。10年ほど前に、病気のため、ピタリと参加できなくなりましたが、「懐かしい!」というのが正直な感想です。特に、マスコミ対応のFさんといういつもニコニコしていた女性には、事情も話せずに、急にいなくなってしまったので、少し後ろめたい気持ちもありました。
古海さんとのご縁で久しぶりに国際善隣協会のホームページを見てみたら、いまだに講演会活動を活発になさっていることを知りました。皆さんも、特に日中関係にご興味があれば、参加されたら良いと思います。オンラインでも参加出来ます。
私は、10月8日(木)に開催された国際ジャーナリストの春名幹男氏の「日米関係〈裏面史で語られた言葉〉」という講演会にオンラインで参加しました。勿論ブログに書くためです(笑)。同協会講演委員会のMさんに「ブログに書く許可」をお願いしたら、かなり厳重な審査の上?、お許しが出ましたので、こうして書くことが出来るのです、はい。
春名氏の御子息は東京外大の学長
講師の春名幹男氏とは、インテリジェンス研究所主催の諜報研究会等で私も面識があるのですが、長らく共同通信のワシントン支局長等を務め、特に日米関係の現代史研究者として恐らく右に出る人はいないと思います。春名氏の著作等については、何度も渓流斎ブログで取り上げさせて頂きました。


この講演会に先立つ、講師紹介で、春名さんの御子息・春名展生氏が東京外国大学の学長をなさっているという話を聞いて吃驚してしまいました。私の母校だったからでした。春名展生氏は昨年、50歳という異例の若さで学長に就任されたことは知っておりましたが、あの春名さんの御子息だったとは…。頭の優秀さはDNAで受け継がれていくんですね…。
「日米 謀略の裏面史」
さて、講演会の方は、春名幹男氏が最近上梓された「日米 謀略の裏面史」(文春新書、2026年9月17日初版)を中心に話されたようでした。私自身、この本が出版されていたことを忘れ、未読でしたので今度読んでみようかと思っています。今回、この講演会に参加出来なかった方もこの本を読めば恐らく、講演内容が分かると思います。
春名氏の長い講演を要約する能力は私にはないので、印象に残ったことだけ書きますと、「太平洋戦争開戦直前の1941年11月25日、米国は、ローズベルト大統領とモーゲンソー財務長官を中心に作成した暫定協定案では日本との戦争回避の方向を決定していた(石油も、民生用なら対日輸出も認めた)。しかし、財務次官補のハリー・デクスター・ホワイトは、日本が米国との戦争を直接仕掛けるように米国務長官のハル・ノート(「中国から日本軍の全面撤退」等)の作成に関わった。ホワイトはソ連のスパイだったからだ」といった話です。私は不勉強で知りませんでしたが、史実は、蒋介石とチャーチルが暫定協定案を猛烈に反対して、最終的にはハル・ノートを採用するようになったようですが、米政権幹部の中にソ連のスパイがいた(KGB秘密文書)とは、驚くほかありませんでした。
桂・ハリマン協定
もう一つは、時代は遡って、1905年、日本は日露戦争での辛勝後、中国大陸で南満州鉄道の権益を得ましたが、その時、米国の鉄道王と呼ばれたエドワード・ハリマンが、共同で満鉄を開発(出資)したいと桂太郎首相に提案し、「桂・ハリマン協定」という暫定協定(覚書)が結ばれました。しかし、翌年、ポーツマスから帰国した小村寿太郎外相の猛反対で破棄され、実現しなかったというのです。これも、私自身、不勉強で知りませんでした。春名氏は「もし、実現していたら、満州事変も支那事変(日中戦争)もなかったかも知れません…」というので私も妙に納得してしまいました。ポーツマス条約で、仲介したセオドア・ローズベルト米大統領とは、日本との密約で「日本は韓国を併合しても良いが、その代わり、米国はフィリピンを支配する」といったものがあったらしいので、尚更です。
密約ですから、歴史の教科書には載っていませんし、こうして、春名氏のように、深く極秘資料に当たって研究して初めて分かるわけです。
信長、秀吉、家康の話も良いですが、やはり、それより、現代史について、密約も含めて、もっと知るべきではないか、と私も反省しました。

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