サルコペニアかロコモか? 心配な友人Kさんの話

サルコペニア・デイ(出典 Wikimedia commons) 雑感
サルコペニア・デイ(出典 Wikimedia commons)

 ちょと残念な哀しい話です。月に1回ぐらいは会って懇談する「飲み友達」のKさんの話です。

 異変に気が付いたのは、4カ月ほど前の3月下旬のことでした。ちょうど花見の季節でしたので、「近所の大公園で桜見でもしませんか?」とお誘いしたら、「いいですね。是非」ということで決行することになりました。そしたら、当日になって急にドタキャンです。腰痛が芳しくなく、歩けないので、中止にしてほしいというのです。私としては、もう既に「花見弁当」を買う予定になっていましたし、あとは缶ビールでも、と思っていた矢先だったので、「では花見は中止でいいですから、お宅にお邪魔して酒盛りでもしましょう」ということで、予定を変更することにしたのです。

認知症気味か?

 久しぶりにKさんのご自宅に伺うと吃驚仰天です。既に、玄関先から腐りかけた野菜が転がり、それが台所まで延々と乾物や保存食品や調味料などが床に堆く積まれて続いていたのです。私は口が悪いので、「まるでゴミ屋敷ですねえ」と言うと、Kさんは「いや、学生時代の下宿もこんな感じでしたから」と全く意に介さない様子だったのです。それにしても、その1年ぐらい前にお伺いした時は、これほど酷くはありませんでした。「もしかしたら、認知症気味なのかなあ」と少し心配になりました。

 Kさんはまだ70代初めです。10年以上昔からのお付き合いですが、以前は、行田市の忍城や埼玉古墳群に行ったり、宇都宮市の大谷石の石切り場に行ったり、高崎市の保渡田古墳群に行ったりした仲でした。当時はまだKさんはスポーツジムに通って、水泳で身体を鍛えていたので元気いっぱいでした。しかし、70歳ぐらいでスポーツジムのおばさん連中がスタッフと一緒に徒党を組んで、爺さん連中を排除する動きをしている、とかといった理由で、ジムをやめてしまいました。

 あとは、自宅で一人で、好きな時間に寝て、好きな時間に起きて、朝から気がつけば酒浸りで、殆どまともな食事もせず、運動もしないという生活を続けたらしいのです。これでは身体に良いわけありませんよね?

 そして昨日のこと。私の個人的理由で忙しかったので、Kさんとは2カ月ぶりにお会いすることになりました。Kさんとはもう既に5〜6回は会っている、いつもの台湾料理店にしようとしたら、Kさんは「お店の名前は何でしたか?」と拘るのです。別に名前は忘れても、場所は覚えているはずです。私は「高島屋の斜め向かいのビルの1階に入っているあそこですよ」と言っても、Kさんは尚もしつこく店名に拘るので、「分かりました。調べて折り返し電話します」と私は切りました。ネット検索して、その店が「台南」だということが分かり、Kさんにそう伝えると、「分かりました。では楽しみにしてます」と言うので一安心しました。これが後を引くとは想像もしませんでしたが…。

消えた?Kさん

 当日、Kさんは、約束の時間になかなか現れませんでしたが、10分ほど遅れてやって来ました。そしたら、2カ月前と比べ、随分、痩せた感じに見えました。顔色もあまりよくありませんでした。ま、それはともかく、店で彼の希望するものを中心に注文し、ビールや紹興酒などを飲みながら1時間ぐらい雑談しておりました。その後、Kさんは「ちょっとトイレに」と言うので、目で見送りしました。そしたら、店内のトイレではなく、店外のビル内のトイレに行こうとしているのです。私は「トイレはそっちじゃありませんよ」と声を掛けようとしましたが、Kさんは既に、店外に出てしまいました。

 そして、5分経っても、10分経っても戻って来ません。ま、長い時もありますから、心配しませんでした。しかし、15分、20分も経過すると流石に心配になって来ました。30分経っても戻って来ないので、痺れを切らした私はお店の人に断って、「ちょっと探して来ます」と、荷物を置いたまま、店外に出ました。店外のすぐ近くのトイレを見ましたが、誰もいません。そこで、2階にもトイレがあるというので行き、塞がっているトイレがあったので、ノックをして「Kさん?」と聞くと、中から、背中に倶利伽羅悶々でも入れていそうなガタイの大きな若いおあ兄いさんが出て来て、迷惑そうに目尻に皺を寄せて出て来ました。

 「あんりま?何処に行ったんだろう?」と隣りのビルにまで行ってKさんを探しましたが、見当たりません。仕方がないので、またお店に戻ると、Kさんは席に戻っているではありませんか。「ごめん、朝ごはんも食べず、空きっ腹で飲んだら、酔いが回って動けなくなりました」と言うのです。「もう、これでは限界だな」と思い、早めに引き上げて帰宅することにしました。

 最寄駅まで5〜6分です。しかし、Kさんは殆ど歩けず、牛歩の歩みしか出来ないのです。「電車に乗れないから、タクシーで帰ります」と言うので、Kさんをタクシー乗り場まで連れて行って、見送りました。

 「大丈夫かなあ」と心配になりました。少し認知症気味で、サルコペニアと言いますか、ロコモティブシンドロームと言いますか、普通に歩けない状態でした。スポーツジムに通っている頃はあんなに元気に飛び跳ねていたのに、随分と体力が落ちた感じです。

60、70は鼻垂れ小僧

 心配だったで、翌日Kさんに電話すると、ケロッと元気な様子で、「そんな酷かったですか?」と惚けるほどでしたので、少しだけ安心しました。それでも、「生活習慣を改めるよう」忠告しておきました。そして、「60、70は鼻垂れ小僧、男盛りは100から。ワシもこれから、これから」と言いながら107歳の天寿を全うした彫刻家平櫛田中(1872〜1979年)の話をしました。これを聞いて、Kさんも少しは心を入れ替えてくれたようでした。

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