先日(6月15日)、NHKで放送された「ダーウィンが来た!」の「無人カメラは見た!動物たちのご近所ライフinドイツ」は、驚くばかりで、ついつい最後まで見てしまいました。
かつて、石炭の採掘で栄えたドイツ東部のラウジッツ地方は旧東ドイツ領で、ポーランドやチェコとの国境にも接しています。ここの広大な石炭採掘地が閉鎖された後、植林したり川の水を引いたりして、森や水辺を再生するプロジェクトが進められました。そして、人間の立ち入りさえ禁止し、手付かずの自然が戻ると、ドイツでは一度絶滅したはずのオオカミをはじめ多くの野生動物が帰って来たのです。番組では、この場所に150台の無人カメラを4年間にわたって設置し、彼らの生態を記録しました。そこに映っていたのは、野生の鹿やイノシシ、ビーバー、コマドリなどで、オオカミに襲われて食べられるイノシシの子どもなども映っていましたが、まさに「野生の王国」が出現していたのです。
この番組を見て、直ぐに、以前読んだレヴィ・ストロースの「悲しき熱帯」に書かれていた一つの文言を思い出しました。そこには、こう書かれていました。
世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう。
地球が誕生して46億年、生命(LUCA)が誕生して40億年。もし、6600万年前に地球に巨大隕石が衝突していなければ、今でも恐竜時代が続いていたかもしれないと思うことがあります。
現生人類ホモ・サピエンスなんぞ、せいぜい30万年前に出現し、文明を築いたのが1万年前ですが、それからわずか1万年経った現在でも、ウクライナで、中東ガザで、イランで、イスラエルで、戦争が終わらず、文明の滅亡どころか、人類の滅亡に真っ直ぐに向かっています。
人類が滅亡しても、相変わらず地球が健在なら、人間が入って来ない手付かずの自然を復元したドイツのラウジッツ地方のように、オオカミが復活し、野生の王国になることでしょう。
まさに、世界は人間なしに始まったわけですし、人間なしでも世界は存続するかもしれません。宗教か、イデオロギーか、覇権主義か、自国最優先主義か、金融資本主義か、弱肉強食か、何かよく分かりませんが、人間はあまりにも人間の生命を大切にせず、傲慢になり過ぎているからです。
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