東京国立近代美術館で開催中の「下村観山展」に慌て見に行って来ました。3月から開催されておりましたが、5月10日で終わっちまって、この後、和歌山県立近代美術館に巡回(5月30日〜7月20日)するというので、本当に大急ぎで見に行きました。関東では13年ぶりの大回顧展ということで、150点が出品されました(ただし、展示の入れ替えあり)。

早熟の天才
下村観山といえば、日本美術院の創設メンバーの中で、橋本雅邦、横山大観、菱田春草らと比べると知名度的に劣るなんて、全く浅はかな独断と偏見を持っておりましたが、テレ東の「新美の巨人」という番組を見て、吃驚してしまいました。絵画の技術は既に8歳にして完成していた早熟の天才、神童でした。まるで、先日このブログで取り上げた天才少女ヴァイオリニストのHIMARIさんみたいなもんです。

明治6年、御三家の紀州藩で代々能楽師を務めていた下村家の三男(本名晴三郎)として生まれ、明治22年、16歳にして東京美術学校(現東京芸大)に第1期生として入学、同校卒業後は教鞭を執っておりましたが、下野した師の岡倉天心と行動を共にして茨城県の五浦に移って、大観、春草、木村武山らと画業に励んだことはよく知られています。

観山の画業は、中国の文人画、歴史画、静物画、風景画、一休宗純らの人物画と実に幅が広く、その技倆は十代で既に完璧に近い形で現れていたので本当に感心してしまいました。
特に、動植物画は、非常に細密で、かぼちゃの産毛からカラスの羽根に至るまで本当に事細かく描かれていました。また、観山は、日本画初の文部省給付留学生として英国に留学しているのでラファエロらの西洋画の模写もありました。

会場は平日の午前にしては混んでおりましたが、それは会期末に近いからでしょう。
また、館内では特定の作品以外は撮影が許可され、「作者と作品名と所蔵先を明記すれば、ブログに掲載しても良い」と貼り紙にあったので、心置きなく気に入った作品の写真をこうしてブログに掲載することが出来ました。

東京国立近代美術館は、地下鉄東西線の「竹橋」駅の近くにあります。竹橋といえば、毎日新聞本社があります。何度か訪れていますので、懐かしいです。このビルの前には、本当に江戸時代には本丸御殿に通じる竹橋があったんですね。

今は皇居になっておりますが、平川橋を渡ると皇居東御苑があり、一般庶民でも自由に開放されています、と思ったら、毎週月曜日と金曜日は休園らしく、本日は金曜で、入園することが出来ませんでした。ず、残念!
いざ、神保町へ
午前11時過ぎでしたので、何処か、ランチ先はどうしようかと考えあぐねた末、「そうだ、神保町に行こう」ということにしました。竹橋から歩いて15分ぐらいですが、私は、東京の中で、一番というぐらい神保町が大好きです。神保町は「本の街」ではありますが、安くて美味しい飲食店が沢山あります。学生の街ですから、明治の頃から、あの周恩来も留学生として通ったという美味しい中華料理店などが軒を連ねていました。最近ではちょっと「カレーライス」が有名になり、「ボンディ」なんか大行列です。
そこで、大行列のカレーは諦めて、改築したばかりの三省堂書店本店近くの「キッチン南海」に行ってみました。以前、文芸記者をしていた頃、神保町は毎週1回は通い、その度に私は、キッチン南海でランチをしていたのです。それが数年前になくなり、多くの人の声で、場所を変えて再開したのでした。でも、行ってみたら、まだ午前11時半だというのに、カレー屋さん以上に二重三重と列がトグロを巻いており、1時間ぐらい並びそうでした。
仕方がないので、すずらん通りに戻り、初めて行く天麩羅屋の「はちまき」という店に行くことにしました。ここでも人が並んでいましたが、5〜6人でしたので、「15分ぐらいかな?」と思い、待つことにしたのです。何でこの店にしたのかといいますと、店前に江戸川乱歩ら「第27回東京作家クラブ」の宴会写真があったからでした。1931年創業。知る人ぞ知る結構有名な老舗天麩羅屋さんでした。
店内には松本幸四郎(恐らく先々代の)らのサインもありました。

何しろ、今どきの物価高で、天丼が1000円という安さですから気に入りました。でも、私は天麩羅定食と熱燗を1本つけてもらいました。真昼間からお酒です(笑)。

美味い! これまた、贅沢、贅沢です。本日は、下村観山画伯の素晴らしい絵画を堪能し、老舗江戸前の天麩羅を食し、最高の贅沢でした。これ以上のことはないでしょう。天の神さまに感謝、感謝です。
浮世絵を見に
この後、せっかく神保町に来たので、本屋さんを少し覗きました。まずは、3月に新装開店となった三省堂書店ですが、地上13階建ての貸しビルとなり、本売り場は1〜3階だけでした。本棚と人が歩くスペースが一人通れるかどうかの狭いスペースになってしまい、昔と比べて心に余裕を持って書棚を眺めることが出来なくなってしまいました。ず、残念。
何も買わずにこの近くの浮世絵専門店の大屋書房へ。最近、浮世絵に凝ってしまったので、相場がどれくらいするのか見たかったからです。書籍が乱雑に積み重ねられ、ちょっと、品定めするには困難極まる書店でしたが、葛飾北斎の有名な富嶽三十六景の複製なら1万2000円から、歌川広重の「東海道五十三次之内 浜松」(蔦屋吉藏版)は9万3500円とありました。やはり、喜多川歌麿の美人画が秀逸で、「欲しいなあ」と思いましたが、値札がなく、店の人に聞くのも面倒なので、ここもまた、そのまま何も買わずに出てしまいました。
歌麿は線描が繊細かつ綺麗で、直ぐに彼の作だと遠くからでも分かります。2016年の話ですが、パリのオークションで歌麿の「深く忍恋」が、74万5800ユーロ(約8800万円)という、当時、日本版画として史上最高値で落札されたぐらいですから、歌麿は、欧米でも人気が高いのです。分かりますねえ〜。


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