テレ東の「開運 なんでも鑑定団」をもう何十年も見ているのですが、先日の平櫛田中作の「木彫りの鬼」が150万円の鑑定が出たことには驚きましたね。何しろ依頼人の父親がタダで手に入れたものだったからです。
タダの木彫りが150万円
番組のHPによるとー。
お宝は高さ7.5cmの小さな木彫りの鬼。25年程前、学生寮の管理をしていた父が、寮母さんの引越しの手伝いをした際、「田中先生 鬼」と書かれた小さな箱を発見。寮母さんに聞くと「中学校の図工の田中(タナカ)先生が作った鬼で、要らないから捨てて下さい。欲しいならあげます」と言われた。父はあとで捨てようと、とりあえずポケットに入れたがすっかり忘れ、持ち帰ってしまった。改めて見ると彫刻があまりに素晴らしいのでビックリ!父は「タナカ」と書いて別の読み方をする有名な彫刻家、「平櫛田中(デンチュウ)」の作品だと言って大事にするようになった。父が言うように、いいものなのかハッキリさせたい!
これに対して、鑑定士大熊敏之氏の解説が以下の通り。
平櫛田中の本物。おそらく現存する田中の最初期の作。銘(めい)はないが、平櫛田中美術館にとてもよく似たものが1点ある。それについて、郷里の福山で2点作って友達にあげたと言い伝えており、これがそのもう1点の片割れと思われる。20代前半の作と考えられる。小さいながらも気迫がこもる造形に、後の大巨匠の才が全て表れており、紛れもない初期の稀少な作品と言える。
木彫りの鬼が発見された学生寮は、平櫛田中の養子先の広島県福山市の学生寮だったことも、本物と断定できる根拠になりました。
六代目「鏡獅子」像
番組では、平櫛田中(1872〜1979年)の「人となり」を解説しておりましたが、やはり、六代目尾上菊五郎の「鏡獅子」が代表作ではないでしょうか。田中(でんちゅう、と読みます)は、歌舞伎座に通い詰めたり、六代目本人に裸になってもらって、筋肉の構造を観察スケッチしたりして、戦前から戦後にかけて何と22年もの歳月をかけて完成させたといいます。以前は、東京・国立劇場のロビーに展示されておりましたが、現在、国立劇場は閉場(2033年に再開場を目指す)してしまったので、今は何処かの倉庫に眠っているのかもしれません。
107歳の長寿を全う
その田中先生ですが、当時としては最高齢の107歳で亡くなっておられたんですね。ですから、こんな名言を残しています。
六〇、七〇は鼻垂れ小僧。男盛りは百から百から。ワシもこれから、これから。
恐らく、渓流斎ブログの読者の年齢層の平均はかなり高いと思われます(笑)。ですから、人生には意味も目的もないのですから、毎日、ぼんやりとした不安を感じながら生きている中高年の皆さんにはこれほど勇気をもらえる名言はないことでしょう。御本人は107歳まで長生きして、この言葉を実証しましたから、まさに名言です。「男盛り」は「女盛り」でも結構です。
私も、明日に生きる糧として、この名言を大切にしたいと思っています。

コメント