「それを知ってどうするのですか?」 AI思考について

池田仲博氏 Wikimedia 歴史
池田仲博氏 Wikimedia

 非常にマニアックな話ではありますが、賢明なる読者諸兄諸姉の皆さまの中には、この渓流斎ブログでかつて取り上げた鳥取池田藩主の末裔(第16代当主)で侯爵だった池田仲博氏(1877~1948年)のことを覚えている方も多いと思います。正直申し上げて、私は、忘れておりました(爆笑)。

 市井の歴史研究家である名倉氏から昨日、急に「国会図書館デジタルコレクションで以下が出てきました。・東郷神社の記録:別添 ・池田邸での暮らし:『日本近代における皇族・華族邸宅の成立と展開に関する歴史的研究』(インタビュー)」といった暗号のようなメールを頂いたので、ブログの過去記事を呼び出して思い出してみたのです。

 そうでした、そうでした。池田仲博侯爵は昭和11年、日露戦争の英雄東郷平八郎にちなんだ神社を建設するための用地として、自分が住んでいた原宿隠田(東京都渋谷区)の土地の一部1万6000坪を譲渡した人でした。

 この池田仲博氏の御子息が、名倉氏が大変関心のある先の大戦中に対米謀略ラジオ放送「日の丸アワー」に関わった池田徳眞氏(1904~93年)でしたね。話はこれで終わりかと思っておりました。そしたら、名倉氏は歴史探偵ですから、執拗に捜査を続けていて、東京の原宿隠田の土地の一部を東郷神社に譲渡した池田仲博氏が、その後移転した小田原市の住所まで調査していたのです。

 結局、住所については、苦労の末、神奈川県立図書館から回答があったそうですが、難題を突き付けられた図書館の司書の方も大変だったことでしょう(笑)。

AIはネット情報の「反映物」?

 何で、こんなことを書いたのかと言いますと、名倉氏がその前に、池田仲博氏の小田原の転居先をAIに質問したところ、「それを知ってどうするのですか?」と軽蔑されたというのです。私は、名倉氏には大変失礼ながら、これを読んで、腹を抱えてゲラゲラ笑ってしまいました。

 AIは所詮、ネット上の情報を集約した「反映物」です。池田仲博氏の小田原市の住所はネット上になかったということになりますが、それなら、AIは「分かりません」と答えれば済む話です。それなのに、「それを知ってどうするのですか?」と開き直るなんて、どういうつもりなんでしょうかねえ? AIのくせにプライドがあって、人間的な、あまりにも人間的な…。さっきまでゲラゲラ笑っていたのに、ちょっと恐ろしさも感じてしまいました。

 でも、「それを知ってどうするのですか?」は、流行語として今年、流行るんじゃないんでしょうか? 渓流斎ブログが保証します(笑)。

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