SNSの裏 「掃除人」の苦悩

2024年4月28日付朝日新聞朝刊一面 雑感
2024年4月28日付朝日新聞朝刊一面

 もう旧聞に属してしまいましたが、2024年4月28日付朝日新聞朝刊一面のトップ記事「SNSの裏 『掃除人』の苦悩」は衝撃的でした。サブタイトルの「有害投稿削除 1本2、3分で判断」「悽惨な動画見続け 心の傷に」を読んだだけでもその内容が分かると思います。

 先日、このブログで「SNS投資詐欺」のことを書きましたけど、ネット上の詐欺広告や、暴力、性的行為、脅迫などの有害投稿を削除しているのは、コンピュータがAIを導入して自動的にやっているものと私は思っておりました。しかしながら、実際は「SNSの掃除人」と呼ばれるコンテンツ・モデレーターらが、いわば手作業でアナログ的に削除しているというのです。モデレーターの数は、フェイスブックは約1万5000人、旧ツイッターのXは約2300人だといいます。

 巨大IT企業の委託先で働く日本人男性によると、モデレーターの仕事は、24時間体制の3交代で、月給は20万円台。1日80本ほどの動画に目を通し、3本ほど削除しますが、判断に迷うのも10本ほどあるといいます。

 驚きべきことは、ケニアでモデレーターとして働くナイジェリア人の留学生の話です。1日9時間、週5日働いて月収約7万円(ケニアの平均月収程度)。建物15階から転落する男性の動画や乳児への性的暴行、過激派組織による処刑、拳銃自殺など1日約1000件の有害動画を見せつけられ、ついには不眠症とパニック障害を併発したといいます。

 いつぞや、NHKの「クローズアップ現代」とニュースで、Facebookを運営するメタ社の女性幹部がインタビューに応じて、「詐欺広告や有害動画は出来るだけ削除していますが、なかなか追いつかない」といった趣旨の発言をしておりました。これを聞いて、私なんか職務怠慢で、随分いい加減な会社だなあと憤っていましたが、こんなモデレーターとして働く現場の人の苦悩など全く知りませんでした。恐らく、このメタ社の幹部も社内の幹部室でぬくぬくしているだけで、モデレーターの現場のことは全く知らないでしょうね。

 こういった苦悩話を見聞する度に、私なんかは、人間「性悪説」を取ってしまいます。恐怖と絶望に駆られてしまいます。そういう私は、こうして、毎日、ネット上でブログを書き続けているのですから、時折、嫌になってしまいます。ネット空間そのものに対する嫌悪感です。

 人はなんで、なりすまし広告や有害動画などを投稿したがるのでしょうか? 安易に金儲けしたいからなのでしょうか?

 今後も詐欺広告や有害動画は減ることはなく、もっと巧妙になって増え続けることでしょう。私も毎日、嫌悪感と戦うしかありません。

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