🎬「教皇選挙」は★★★☆

映画「教皇選挙」 雑感
映画「教皇選挙」

  話題の映画「教皇選挙」(エドワード・ベルガー監督)を観て来ました。3月20日に封切ですからもう2カ月も経つ異例の超ロングラン上映です。ちょうど現実世界で、教皇選挙(コンクラーベ)が行われ、5月8日に米国出身のロバート・プレヴォスト枢機卿が、第267代ローマ教皇に選出され、「レオ14世」となりましたから、タイムリーな話題として、この映画の集客に拍車が掛かったということなのでしょう。

9年前の小説が原作

 でも、原作「コンクラーベ」は英国のジャーナリスト、作家のロバート・ハリスが、今から9年前の2016年に発表した小説です。はっきり言って、かなり「創作力」を駆使した物語で、史実ではなく、あくまでもフィクションです。

 それでも、この映画を観ると、関係者以外誰も知らない、鍵が掛かった(コンクラーベ)密室世界で繰り広げられる教皇選挙の舞台裏に密かに立ち会ったような気分にさせられます。ミステリー仕立てになっていますから、息もつかせぬスト―リー展開です。私も、「えっ? これからどうなるんだろう?」「えっ? 何でこの重大事にテロ事件が起きなきゃいけないの?」とハラハラし通しでした。

 全世界から120人ほどの選ばれた枢機卿がバチカン市国のシスティーナ礼拝堂に集結し、次期教皇名を手書きで書いて、祈りながら投票箱に紙を入れる場面や、食堂で集団で枢機卿たちが一緒に食事をする場面もあり、実際にそのように行われるのかどうか分かりませんが、よく取材されているなあ、と感心しました。ただし、映画で映る枢機卿たちは欧米系かアフリカ系の人ばかりでした。アジア系の枢機卿役のエキストラさんは1人か2人しか見えなかったので、気になりました。(実際、選挙権を持つアジア系の枢機卿は、10人ぐらいではないかと想像されますが…えっ?もっとですか?)

 映画は、フィクションですから、買収工作したりする場面が出てきたり、先程書いたようにテロ事件があったり、わざとドラマチックに描かれていました。それだけに、実際の教皇選挙というものは、本当のところ、どうなのか知りたくなりました。最近、現実に、本物の教皇選挙があったわけですからね。

レイフ・ファインズが好演

 映画なのに、その教皇選挙が本物らしく見えたのは、やはり、選挙を取り仕切る首席枢機卿ローレンス役の名優レイフ・ファインズの、内面に苦悩を抱えた抑制された演技力にあったかもしれない、と映画を観た後で思いました。

 しかし、くどいようですが、実際の教皇選挙は、映画や小説なんかよりも、もっとギトギトしていて、どす黒い濁流が流れているような気がします。何しろ、全世界に14億人以上の信徒を持つローマ・カトリック教会の頂点に立つ人(教皇)を選ぶ選挙ですから、それほど平板で和気藹々の世界だと想像を強いられる方が無理でしょう。バチカンは莫大な資金力を持ち、世界中に諜報網を広げていることは周知の事実だからです。とはいっても、あまりリアルに描くと、エンターテインメントにならず、集客力に繋がらないでしょう。そういった意味で、この映画はよく出来ていると言えます。

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