今、世界で最も注目されている人物の一人は、米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手でしょう。試合の戦績は勿論のこと、彼のプライベートな奥さんの話に至るまで、一挙手一投足が分刻みで報道されるほどです。
そんな折り、長年公私ともに連れ添ってきた通訳の水原一平氏が、違法賭博をしたとして球団から解雇されるニュースが飛び込んできました。報道に接した限りですが、大谷選手が処分される可能性も含めて事態は予断を許さないようです。
6億8000万円もの損失額
まず最初に驚かされたことは、通訳の水原氏の損失額です。大谷選手の銀行口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)が損失額として返済されたといいますが、あまりにも巨額過ぎて呆然としてしまいました。ドジャースと10年総額7億ドル(約1014億円)で契約した大谷選手から見れば大したことはないかもしれませんが、庶民としては、一生懸けても稼げない金額です。
大リーグの選手通訳の年俸は、10万ドル(約1510万円)前後が相場ですが、水原氏は、大谷選手の練習サポートや運転手も兼ねたりしていることもあるせいか、年俸は30万ドル~50万ドル(4530万円~7550万円)だと水原氏自身が米スポーツチャンネルESPNに明らかにしています。まあ、年俸5000万円の通訳さんなど世界中どこを見てもあり得ないぐらいですから、恐らく、水原氏は普通の人の金銭感覚とは違ってしまったのでしょう。
問題は、水原氏が当初(3月19日)は、損失額の450万ドル(約6億8000万円)は大谷選手が自分のパソコンから分割で支払ってくれたとESPNに話していたのに、翌20日には前言を翻して、大谷選手は水原氏の賭博や借金のことも知らず、送金も含めて何も関与していない、と否定したことです。しかし、どうも怪しいですね。大谷選手が「知らぬ存ぜぬ」ということになれば、水原氏が窃盗罪ということになり、彼一人が処分を受けるだけで済みます。
しかし、大谷選手が水原通訳の賭博を関知していて、補填したとなれば、問題になるようです。21日付のロサンゼルス・タイムズは、「選手らが違法なブックメーカーのために働いた場合、最低1年間の出場停止処分になる」との大リーグ規則を引用したりしています。
何処まで情状酌量されるか?
でも、この「違法性」がどこまで情状酌量されるかで、「裁定」は変わることでしょう。水原通訳は、当該ブックメーカーが違法だったことは知らなかった、と釈明しており、そもそも、米国はギャンブルのラスベガス(ネバダ州)で知られるように、賭博に関しては寛大で、ほとんどの州では解禁されています。運の悪いことに、禁止しているのは大谷選手と水原通訳の地元であるカリフォルニア州ぐらいだというのです。
22日付読売新聞夕刊によると、大谷選手は巨額の窃盗被害に遭ったとして、大谷選手の代理人が捜査当局に刑事告訴したと報じています。
こういう現在進行形の動きのあるニュースはキリがないので、この辺でやめておきます。
大谷選手は子どもの頃から、自分の目標をチャートに書いて、見事に、着実に実現していっております。「○○歳でプロ野球選手になり、○○歳で米大リーグに移籍し、○○歳で結婚して…」といった具合で列挙して、それらの「夢」を本人のたゆまぬ地道な努力で叶えております。
しかし、公私ともに信頼していた通訳に裏切られることまでは大谷選手は予想もしていなかったことでしょう。
ここまで書いたので、私の予想を書いておきます。仮に水原通訳が窃盗したとしたら、彼が大谷選手の銀行口座のログインIDとパスワードを知っていたことになり、それは有り得ないことではありませんが、極めて不自然です。大谷選手が水原通訳に資産管理まで任せていたのなら別ですが。
となると、大谷選手は何らかの形で水原通訳の賭博癖も借金のことも知っていた可能性が高いと考える方が自然です。
しかし、恐らく米大リーグ機構とドジャース球団は「球界の至宝」を出場停止にすることはないと思います。ま、それが「大人の解決」だからです。
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