目下、放送中のNHK大河ドラマ「光る君へ」を時には面白く、時には「えっ?そんなわけないでしょう?」と疑問を持ちながら見ています。
「源氏物語」を著した紫式部を主人公にした「王朝絵巻」ということですが、紫式部の母親が小さい頃に藤原道長の兄道兼に殺害されたことになっていたり、若き頃の紫式部が藤原道長と恋仲になっていたりして、「えっ?史実なの?」と思ったりします。実際、紫式部自体、本名も分からず謎に包まれた人物で、資料も残っていないということなので、幼名「まひろ」にせよ、これは、あくまでも敏腕脚本家・大石静さんが創作した現代ドラマだとして見ると、さすがにその巧みな物語りには感心してしまいます。
物語は劇的にした方が面白いというわけです。
でも、ドラマの時代考証として、この分野の泰斗である倉本一宏国際日文研教授が控えておりますから、あまりにも史実から逸脱したらイエローカードぐらい出しているのかもしれません。
陰陽師は陰謀に荷担したのか?
さて、先日の放送では、右大臣藤原兼家が花山天皇を退位(出家)させて、自分の外孫を一条天皇(父は円融天皇、母は兼家の娘詮子=吉田羊)としてわずが7歳で即位させた「陰謀」(986年、寛和の変)をやっておりました。これは史実のようです。藤原兼家は、段田安則さんが熱演していました。でも、私が注目して見たのは陰陽師安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)でした。「えっ? 安倍晴明が事変に暗躍したというのは史実なの?」という驚きです。調べてみたら、確かに安倍晴明は藤原兼家・道長と同時代の人間(当時としては長寿の85歳没)で、実際に陰謀に荷担したがどうか別にして、何らかの形で知っていたと思われます。
たまたま、自宅に、加来耕三企画・構成・監修、後藤ひろみ原作、玉置一平作画のコミック版日本の歴史「平安人物伝 安倍清明」(ポプラ社)があったので読んでみました。
この本は自分で買ったわけではなく、昨年、BS11「偉人・素顔の履歴書」の番組プレゼントで見事当選したものでした(笑)。まだ読んでいなかったので、早速読んでみました。このコミック版日本の歴史シリーズは「史実に忠実に描かれている」と定評で、この本では、安倍晴明が関わったということは書いていませんでしたが、「この交代劇には一条天皇の祖父藤原兼家が関わったともいわれる」とだけ書かれていました。
陰陽師は重要な職掌だった
陰陽師といえば、現代人から見れば、まがまがしく、胡散臭くさえ見えますが、当時は重要な職掌で、天文学や暦学、風水、陰陽五行説などに通じて、吉凶を占ったり、天皇が裁可する当たって助言したりしたようです。ですから、何かあれば天皇が直ぐ呼び出せるように、陰陽師の陰陽寮は、天皇の生活の場である御所内の清涼殿からほど近い場所にありました。
当時は疫病や天災が頻繁に起こり、原因は、目に見えない悪霊や物の怪の仕業と考えられていたので、陰陽師の出番も多かったことでしょう。現代科学ではあっさり否定されることもありますが、当時の人々は貴賤問わず、不安と恐怖で毎日を過ごしていたので、かなり陰陽師を頼りにしたことでしょう。
私も現代科学で否定されようが、陰陽師の味方です。
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