先日放送されたNHKスペシャル「臨界世界 戦慄の占領地 “ロシア化”の実態」は文字通り、見て戦慄しました。
ロシアによるウクライナ侵攻は今年2月で4年目になりますが、その実態については日本ではあまり報道されなくなりました。そんな中、この番組は、まさに命懸けで取材した特筆に値するものです。
特に、ロシアと国境を接したウクライナ東部のルハンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州の「占領4州」にカメラが入り、まさに驚くべき「ロシア化の実態」を報道していました。これら占領4州では、ロシアのパスポートがないとスーパーで買い物が出来なかったり、薬も買えなければ、病院で診察を受けることもできない。学校では、毎朝、ロシア国歌斉唱で始まり、小さいうちからロシア語とロシアの歴史ばかり頭に叩き込まれます。
また、この占領4州では、テレビ局も占拠されてウクライナ語放送はシャットアウトされ、ロシア語のプロパガンダ放送しか見ることが出来なくなりました。
最も印象的だった人は、ヘルソン州で溶接工だったオレクサンダー(47)という人です。彼の妻がロシア兵4人からレイプされた上で殺害され、占領警察に訴えたら、「お前は嘘つきだ。殺したのはお前だ」と、顔面を拳銃で殴られ、罪を被せられて300日間、拘束され、拷問の末、ロシア兵になることをサインさせられてしまいます。最前線に送られますが、対峙した時、「同朋は殺せない」と銃を投げ出して投降して捕虜になりますが、ウクライナからは戦争犯罪者として拘置されます。
やつれ果てたオレクサンダーさんは言うのです。「ロシアにもウクライナにも居場所はない」「夢も希望もない」「何も望みません」「もうどうなっても構いません。生きる気力も全て失った」
何たる理不尽で、不条理なことでしょう。私も絶句してしまいました。彼は何をしたというのでしょうか? 何か悪事を働いたわけではなく、単なる溶接工というウクライナの一市民に過ぎません。家庭もあって、穏やかに暮らしていたというのに、戦争という悲劇に巻き込まれ、不幸のどん底に突き落とされてしまいました。
平和な日本に生まれ、何不自由なく暮らしているというのに、毎日のように不安だらけで、鬱々と過ごしている自分自身が情けなくなりました。

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