ベネズエラ大統領拘束は諜報機関の手引きか?

トランプ米大統領(出典 Wikimedia commons) 歴史
トランプ米大統領(出典 Wikimedia commons)

学生時代からの友人、入江君から久しぶりに電話が掛かって来ました。入江君はいまでも貿易会社に勤める普通のサラーリマンです。

 入江君「ついにアメリカがベネズエラを侵略したね」

 渓流斎「侵略? それは言い過ぎじゃないの?『麻薬王』の独裁者マドゥロ大統領を拘束しただけじゃないの? これでベネズエラ国民は安心して暮らせるんじゃないの?」

 入江君「君はいつも甘いね。これは明らかに国際法違反だよ。何しろ武力で主権国家を転覆しようとしたんだから。マドゥロは確かに独裁者かもしれないけど、自国民を虐殺しているわけでもないし、アメリカは、麻薬取引の船舶だといって撃沈したりしているけど、確かな証拠があるわけじゃない。アメリカはベネズエラの安い石油が欲しいだけなんだよ。トランプは明らかにプーチンと同じことをしている。アメリカはロシアを批判できないし、何が平和の使者だよ」

 渓流斎「そうは言うけど、マドゥロ大統領のおかげで、多くのベネズエラ国民は苦しめられていたんじゃないのかい?その証拠に、昨年のノーベル平和賞だって、ベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャドさんが受賞したじゃないか」

 入江君「だから君は甘いって言うだよ。ノーベル平和賞なんて、極めて政治的なものなんだよ。大国の意向に左右されるんだよ。マチャドの平和賞なんて、アメリカが取らせたようなものじゃないか。どこも報道していないけど、マチャドがベネズエラ国内の厳戒体制の中から、ノルウェーのオスロに渡航できたのは、米CIAの手引きによるものだからね」

 渓流斎「えー⁉︎そうだったの?」

 入江君「そりゃそうじゃん。今回のマドゥロ拘束は、1973年のチリ軍事クーデターを思い起こすね」

 渓流斎「ピノチェト将軍がアジェンデ政権を倒して軍政を敷いたあの事件か」

 入江君「あれ? 君にしてはよく覚えているね」

 渓流斎「映画『サンチャゴに雨が降る』で有名になったからね」

 入江君「そうそう、俺たちが学生の頃に公開されたからね。あれも、CIAが絡んで転覆させたんだ。とにかく、アメリカにとって、南米は自分たちの裏庭なんだ。裏庭が社会主義やら共産主義などに赤化されたらたまったもんじゃない。遠く離れた台湾問題とは桁違いなんだよ。だから、中国が台湾沖で軍事演習を強行しても、トランプは一言も反論しない。むしろ、中国に媚を売っているぐらいじゃないか。高市首相は、二階に昇ったのに梯子を外されたわけだ」

 渓流斎「そうは言っても、身近なカリブ海にあるキューバは社会主義国だし、いまだにロシアや中国の影響が色濃い中南米諸国が多いのは確かだけど…」

 入江君「もう日本人の誰もが忘れているけど、パナマのノリエガ将軍だって、今回のマドゥロ大統領と全く同じようなケースじゃないか。1989年、アメリカはパナマの最高司令官ノリエガを麻薬密輸、マネーロンダリング等の罪状でパナマに侵攻し、拘束したからね」

 渓流斎「ノリエガも悪い奴だったんじゃないの?」

 入江君「世の中、映画や小説の世界のように勧善懲悪で出来ているわけじゃないんだよ。メディアが無知な大衆を洗脳しているだけなのさ。とにかく、ハリウッド映画みたいに、アメリカは正義で、悪は倒さなければならないという図式を作っていく。日本のメディアは単に、そのアメリカの報道を翻訳しているだけだから、当然、アメリカがやっていることは何でも正しいと思い込まされているだけなのさ。ノリエガは実は1950年代から米CIAのために活動していたと言われ、ブッシュ(父)CIA長官時代の1976に年間11万ドルもの報酬を受け取っていたともいわれる。そのノリエガを1989年に拘束したのが大統領になったブッシュだというから皮肉なもんだね。でも、諜報機関と政権は表裏一体で活動していることが見え見えだね。ソ連のKGBの元中佐だったプーチンがロシアの大統領になったように、世界的に共通しているということだ。『諜報を制する者が世界を制する』というお手本みたないなものだよ」

 私も、お正月のお屠蘇気分が一気に醒めてしまいました。

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