イラン攻撃で暗躍する「8200部隊」

2026年3月1日、トマホーク地上攻撃ミサイルを発射する駆逐艦「トーマス・ハドナー」(米海軍提供)(出典 Wikimedia commons) 雑感
2026年3月1日、トマホーク地上攻撃ミサイルを発射する駆逐艦「トーマス・ハドナー」(米海軍提供)(出典 Wikimedia commons)

 私は、NPO法人インテリジェンス研究所の特別研究員でもあるので、普通の人よりは諜報活動には興味を持っています。

 スパイと言えば、「おどろおどろしい」というのが実体ですが、子どもの頃に観た、スパイをエンターテインメントに仕立て上げたショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドの007映画(原作イアン・フレミング)や、テレビドラマの「0011ナポレオン・ソロ」の影響もあるかも知れません。(ナポレオン・ソロをご存知の方は現在、65歳は過ぎていることでしょうが…)

 今年(2026年)に入って、トランプ米大統領が仕掛けた一連のヴェネズエラやイランへの電撃攻撃作戦の裏には、米CIAの暗躍があったことは公然の秘密として一般の人にも知られています。

 でも、今回の米・イスラエルによるイラン攻撃で、最も暗躍したのがイスラエルの「ユニット8200」(8200部隊)だったことは、一部の人しか知らなかったことでしょう。私も今朝、エコノミストの伊藤洋一さんがコメンテーターとして出演しているTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」という番組を聴くまで知りませんでした。

 軍事機密として秘密のヴェールに包まれていますが、イスラエルの諜報機関は、CIAに追随した「モサド」が有名です。モサドは主にヒューミント(人的情報収集)を得意とします。その一方、ユニット8200は、サイバー情報収集とサイバー攻撃に特化したイスラエル国防軍参謀本部情報局に属する部隊です。推定5000人を擁しますが、いずれも超優秀なエリートばかり取り揃えて、シギント(信号情報収集)に従事しています。

 今回、何故、イランの最高指導者ハメネイ師ら最高幹部がいとも容易く居所を突き止められて暗殺されたのかといえば、この8200部隊の暗躍によるものだと言えます。彼らは24時間体制でサイバー上にある、あらゆる情報をハッキング(収集)、分析し、監視カメラ等に映った画像や動画を繋ぎ合わせ、ハメネイ師らの日常行動を把握し、恐らく、電子メールや位置情報などで、「最高幹部会議」が、いつ、何処で行われるかまで正確に把握したことでしょう。

 2月28日の米・イスラエルによる電撃攻撃の際、イランで最も使われているアプリに妨害電波と警報を鳴らして、その後、イラン国内のネットワークを遮断したのも、この8200部隊だといわれています。イランは、このまま圧倒的な軍事力を誇る米国とイスラエルによって降伏を余儀なくされることでしょうが、実弾が飛び交って、人間が死亡する実戦の前に、既に、情報戦で敗北していたことになります。

 いつの時代も、戦争というものは、歴史が教えるように、「情報を制する者が勝敗を制する」ということです。

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