今さらながらの話ではありますが、昨年9月に財務省が公表した法人企業統計によると、日本企業の内部留保は2023年度末に初めて600兆円を超えました。アベノミクスが始まった2013年度の内部留保は約328兆円でしたので、2倍近くに膨れ上がったことになります。驚くほかありません。
何故、こんなに内部留保が溜まったのかといいますと、第1に、企業が労働者諸君の賃上げを拒み、社会還元もせず、企業内部に貯め込んでいる結果ではありますが、円安効果もあると思います。特に、輸出産業は、輸出すればするほど円が安いので儲かるわけです。昔は1ドル=100円だったのが、1ドル=150円と円安になれば、1.5倍儲かるわけです。
また、円安になれば海外から観光客が押し寄せるので、百貨店などの小売りや観光関連産業は大儲けです。私のような貧乏な日本人を相手にしなくて済みます。
そういった円安の恩恵をマスコミはあまり報道しませんよね? 円安になったデメリットばかり報じます。確かに輸入品はかなり高騰しています。食肉やワインや海外ブランド衣料なんかもそうです。でも、どこか、円安不況をあら探ししている感じです。メディアは何で内部留保の問題を取り上げないのでしょうか? 民放はスポンサーのご機嫌をお伺いしなければいけないからなのでしょうか?
歴史をみると、金融不況を脱出させた蔵相で首相も務めた高橋是清(1854~1936年)がいます。彼は昭和6年、井上準之助蔵相による金解禁(昭和5年)で不況に陥った日本経済を立て直すために、金輸出を再禁止し、円安を誘導して輸出増加政策を推進しました。しかし、軍事費削減や参謀本部解体案までぶちあげたことで、軍部から敵視され、昭和11年の二・二六事件で、青年将校中橋基明中尉により赤坂の自宅で暗殺されました。
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