今井むつみ、秋田喜美著「言語の本質」(中公新書)を読み始めております。
「2024新書大賞 第1位」や仏文学者の鹿島茂、人類学者の山極寿一両氏らの「推薦」で書店の棚に平積みになっていたので、思わず購入しましたが、読み始めて、それほどドキドキ、わくわくするほど面白くありません。失礼!そんなこと言っちゃいけませんよね?(苦笑)。私が卒業した大学は語学専門でしたから、言語学はほぼ必修課目でしたけど、正直、この本は、結構難解なのです。そんな難しい本なのに、よくぞベストセラーになっているものだ、日本人の知的レベルも捨てたもんじゃない、と感心致しました。あ、これも、上から目線で失礼致しました(苦笑)。
この本はまさに「共著」になっています。章を分担して個別に書いているのではなく、全体を話し合いながら一緒に執筆しているようなのです。今井氏は言語心理学者、秋田氏は心理言語学者です。心理学者と言語学者がタッグを組めば、鬼に金棒といった感じです。
読了後の感想記事は以下になります。
オノマトペだらけの日本語?
本書の特長は、「オノマトペ」に注目している点です。オノマトペとは何か? 本書には以下のように書かれています。
…この用語はギリシャ語起源のフランス語である。ギリシャ語では、onoma(名前、ことば)+ poiéō(作る)で「名前を作る」の意。これをもとにしたフランス語のonomatopéeは、ヒトや動物の声や物音を模した擬音語を指す。…実際、欧米の言語で「オノマトペ」というと、擬音語のことだけを考える人たちが多い。
しかし、日本語では大多数のオノマトペはむしろ擬態語である。…現在では、擬音語だけでなく、日本語で言う擬態語や擬情語(「わくわく」など内的な感覚・感情を表す語)にも「オノマトペ」という言葉が使われている。
「言語の本質」3~4ページ
まあ、そう書かれていましたので、私もこの記事の最初の方で、オノマトペの「ドキドキ、わくわく」を使ってみたのです(笑)。本書によると、世界に言語は6000もあるそうですが、特に、日本語はオノマトペが多いと思います。ワンワン、ニャーニャーといった動物の鳴き声、バタン、ギ~といった擬音語、モジモジ、ソワソワといった擬態語、先程書きましたが、ドキドキ、わくわくといった擬情語などです。もしかしたら、オノマトペがなければ、日本語は成り立たないほどです。特に、漫画なんかそうでしょうね。
この本を読んで、「へ~」と思った箇所は「清濁の音象徴」でした。
日本語のオノマトペはとりわけ整然とした音象徴の体系を持つ。すぐに思い浮かぶのは、いわゆる『清濁』の音象徴だろう。『コロコロ』よりも『ゴロゴロ』は大きくて重い物体が転がる様子を写す。『サラサラ』よりも『ザラザラ』は荒くて不快な手触りを表す。さらに『トントン』よりも『ドンドン』は強い打撃が出す大きな音を写す。
…日本語の音象徴における清濁の重要性は、それがオノマトペ以外でも見られることからもわかる。『子どもが遊ぶさま』の『さま』に対して、『ひどいざま』の『ざま』は軽蔑的な意味合いを持つ。『疲れはてる』の『はてる』に対する『ばてる』にもぞんざいなニュアンスが伴う。
「言語の本質」23~24ページ
確かに、へ~、なるほど、と膝をポンと打ちたくなります。(「ポン」はオノマトペとして、ワザと入れました!)
正直、あまり面白い本ではありませんが(失礼!まだ言っている!=あくまでも個人の感想です)、大変勉強になる本です。
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