もう何年も前から着るものには執着しなくなって、普段着は専らユニクロばかり買っておりました。
それが、突然、何のきっかけもありませんが、急に「ユニクロを着たまま死にたくないなあ」と思ってしまったのです。特別な理由はないのですが、人間の見栄といいますか、業(ごう)みたいなもんでしょう。人間、名を残せなければ、虎のように皮を残すしかないか、とわけが分からないような天啓に襲われたのかもしれません(笑)。
プロテニス選手が創業したブランド
これでも、若い頃はファッションに凝ったものでした。我々は「ポパイ」や「ホットドッグプレス」の世代でしたからね。と、書いても分からない人がいるかもしれないので、一応、注釈しますと、いずれも若者男子も向けのファッション雑誌です。こんな雑誌に騙されて、東京・南青山の「ポール・スチュワート」や「ブルックスブラザーズ」なんかに生意気にも出入りしたものです。
1980年代初期、テニスのビヨルン・ボルグとジョン・マッケンローの全盛期で、彼らが来ていた「フィラ」(1911年、伊)や「セルジオ・タッキーニ」(1966年、伊)は「必需アイテム」でした。そう言えば、結構、プロテニスプレーヤーが引退後に起業したファッション・ブランドが多いですね。「ラコステ」(1933年、仏)も「フレッド・ペリー」(1952年、英)もそうです。
雇い止め問題の「パタゴニア」
最新ブランドについては、あまり分かっていないのですが、とにかく、ユニクロではない、ちょっと高めのブランドということで、一時、「パタゴニア」に凝ったことがありました。登山家である創業者のイヴォン・シュイナードが地球環境問題に敏感で、素材は再生繊維を使うという思想に共鳴しジャケットからパンツにまで買い揃えたことがありましたが、従業員の雇い止め問題が発覚し、「地球にやさしくても、人にはやさしくないなあ」と思い、買うのをやめてしまいました。
そこで、今回、今でも中高年層に高い人気を誇るという「ラルフローレン」に挑戦しようかと思い、まず、通販で調べ、ダウンジャケットが気に入ったので買うことにしました。2万2980円です。でも、通販では、大きさやフィット感が分からないので、店舗に買いにいくことにしました。
ポロシャツが2万円!
そしたら、このダウンジャケットは店舗にはなく、若い男性店員さんは「その商品番号分かりますか?」と聞いてくるのです。そこで、スマホの画面を見せると、「これには商品番号が付いていませんね。正規製品じゃない可能性もあります」と言うのです。そして、「これに近い商品でしたら、大体4万円か5万円ぐらいします」とまで言うのです。そう言いながら、私があまり気に入らないフード付きのジャンパーなんかを奥から出してきたりするのです。勿論、断りました。
それならということで、私は「それでは、ポロシャツはありますか?」と聞いてみました。ラルフローレンのポロ・シャツは定番ですから、昔、買ったことが何度かあったからです。当時は6000~7000円ぐらいだったと思います。
そしたら、何と、「今は、2万円ぐらいです」と店員は言うのです。えっ!?ポロシャツが2万円?その値段ならちょっと足せば、通販でダウンジャケットが買えるじゃありませんか。そんなことを独り言のように呟くと、若い店員はさも馬鹿にしたように、「円安もありますからねえ」と言いながら、ポロシャツを出すことなく、カウンターに戻っていくのです。明らかに「貧乏人はウチのような高級店の敷居を跨ぐなよ」と言わんばりのオーラを発していました。
さすがにカチンと来ましたね。「二度とこんな店に来るものか」と思いましたよ。
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