新宿「どん底」で送別会

1951年創業の新宿「どん底」 雑感
1951年創業の新宿「どん底」

 普通、他人の身辺雑記なんぞは読まれないものなのですが、こうしてお読み頂いている読者の皆さまがいらっしゃるとは、感謝感激雨あられで御座います。

 昨日は、元会社の後輩の皆さんが私のためにわざわざ「送別会」を開いてくれました。送別会とはいっても、「割り勘」でしたから、実質、送別会にはなりませんが(笑)、まあ、後輩から奢ってもらうわけにはいきませんからね。

最底辺から再スタート

 幹事役をかってくれた大岡君は、目下、静岡県の沼津市に単身赴任中ですが、3連休(10月12~14日)は東京の実家に戻るということで、日程と場所をアレンジしてくれました。場所は、彼のたっての希望で新宿の老舗「どん底」に決まりました。私も、どん底からの再スタートですから、丁度良いと思われたのでしょう。「どん底」については、後で詳細します。

 大岡君は、昔の会社報に載った「新入社員」(写真とプロフィル)のコピーまで持ってきて、会を盛り上げてくれました。

 あと集まってくれたのは、既に15年前に会社を早期退職した津山君と、現役の文化記者の奥平さんでした。津山君も文化記者でしたが、早期退職制度を利用すると「割増金」が出るということで、あっさり退職してフリーになりました。奥平さんには、野郎ばかりではむさ苦しいので、「一輪の花」として参加してもらいました。幹事の大岡君とは立教大学の同窓ということもあって、年に何回か飲み会をやっているらしく、垣根もなく気軽に誘えるということでお願いしました。

 奥平さんは青森県出身で、大卒後、地元紙の東奥日報の記者になりましたが、色々あってトラバーユした異色の女性です。お土産に、青森名産のホタテ貝の燻製?まで持って来てくれて、大変気配りがある方でした。20歳以上年が離れたおじさんたちの会話には付いて来れなかったと思いますが、後学のために少しは参考になったと思います。

「レッキング・クルー」のラリー・ネクテル

 津山君と再会したのは8年ぶりでした。何で分かるかといいますと、旧渓流斎日乗のブログに書いているからです(笑)。彼は大の音楽好き(特に山下達郎、大滝詠一ら)で、彼と会うと直ぐに音楽談義となります。一番の収穫は、彼から、「レッキング・クルー」という米国のスタジオ・ミュージシャンのことを教えてもらったことです。いわゆる「影武者」です。例えば、サイモンとガーファンクルの名曲「明日に架ける橋」のピアノを弾いているのは、ポール・サイモンではなく、ラリー・ネクテルというバックミュージシャンでした。彼は、ビーチ・ボーイズの「グッド・バイブレーション」ではハモンド・オルガンを演奏し、ドアーズの「ハートに火をつけて」では、フェンダー・ベースを弾くなど天才です。ネクテルは、1970年代に、私も大好きなボーカル・ロック・バンド「ブレッド」に第2期メンバーとして参加し、「二人の架け橋」「ギターマン」「イフ」などのヒット曲量産にも貢献します。

 レッキング・クルーについてもっと知りたい方は以下をご参照ください。

 ・2016年11月19日「レッキング・クルーのいい仕事」

 ・2016年11月25日「『レッキング・クルーのいい仕事』読了」

キリマンジャロ登頂の津山君が消えた

  津山君は6年前にアフリカ最高峰のキリマンジャロに登頂した話をしてくれました。標高5895メートル。50万円のツアーに参加したそうです。シェルパ付きで、20代から70代までの日本人男女11人が参加し、登頂できたのはそのうち8人だったそうです。彼は、東南アジア最高峰のキナバル山(4095メートル、マレーシア)に登頂するなど事前準備を怠りませんでした。キリマンジャロは酸素マスクなしでしたが、かなり苦しかったそうです。

 その津山君が「もう一軒行きましょう」というので、新宿西口の思い出横丁の「小松」に入ったのですが、どうしたものか、途中で何も言わずに、急に荷物をまとめて消えてしまいました。何があったのか? 幹事の大岡君も後を追って探しましたが、人混みにまみれて見失った、と呆然とした表情で戻ってきました。電話もメールも繋がらず。最近、私自身、どうも狐につまされる事案に接することが多いのです。誰か助けて~。

新宿「どん底」の由来

 「どん底」は、新劇俳優で舞台芸術学院1期生の矢野智が1951年に創業した老舗酒場です。ロシアの劇作家ゴーリキーの作品「どん底」から取ったもので、池袋の舞台芸術学院長だった秋田雨雀が命名しました。演劇人や文化人らの溜まり場になり、三島由紀夫や黒澤明や美輪明宏らも通っていました。そんな話をしていたら、お店の人が「あの隅の席が三島さんがよく座っていた席ですよ」と教えてくれました。

 舞台芸術学院は、役所広司や市村正親らを輩出した専門学校です。先日、「2026年3月に閉校する」と発表され、話題になりました。演劇記者の間では「舞台芸(ブタゲイ)」の愛称で知られていましたが、本当に残念なニュースでした。

 「どん底」について、もっと知りたい方にリンクを貼っておきます。

 ※登場人物は仮名です。

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