こりゃあ、いい!
初めて落語の歴史と亭号・家号の由来が分かりました
本屋さんに行ったら、たまたま、「春風亭一之輔の江戸落語入門」(NHK出版、1320円)を見つけました。目下、NHKのEテレで放送中の「趣味どきっ!」のテキストらしいのですが、これが内容が実に充実しています。
落語に関して、私が一番知りたかった「落語の歴史」や「落語家の亭号・家号」が載っています。まさに、痒い所に手が届く良書です。「道具屋」「大工調べ」など代表的な落語のあらすじも掲載されています。それに、江戸時代の物価や庶民の仕事、暦や「丑三つ時」といった時刻など落語の背景が分かる江戸の文化も詳しく載っています。番組では、目下、人気実力ともナンバーワンの春風亭一之輔の進行・解説役で登場しますが、番組を見なくても、この一冊を読めば、十分に落語の通になれます。
新聞社の落語担当記者は、どうも、時代背景よりも、落語協会からの落語芸術協会の脱退、立川談志による立川流創設、円楽一門の独立といった実に人間臭い、いわば社会部の事件記者のような話題を追いがちで、肝心要の落語の歴史に関する知識に欠けているといってもいいでしょう。この本を読んで出直してこい、と言いたいですね(笑)。
そんな私も、かつて落語担当記者でしたが、知らないことばかりでした。日本の落語は、神話の「海幸山幸」で神々が物真似など愉快な芸を楽しむ場面があり、神話時代にまで遡ることが出来る、とこの本に書かれていたので、吃驚です。時代は下って、安土桃山時代から江戸初期にかけて、安楽庵策伝(あんらくあん・さくでん)が日本初の笑いの噺本「醒睡笑(せいすいしょう)」をまとめたことから、「落語の祖」と呼ばれているそうです。私もこの本で初めて知りました。
落語家の亭号・家号については、江戸後期の林家正蔵を祖とする「林家」、江戸後期の桂文治がルーツの「桂」、上方落語の「笑福亭」、幕末の三遊亭圓生を祖とする「三遊亭」(分流の「橘家」「古今亭」を含め「三遊派」と呼ぶ)、江戸後期の麗々亭柳橋(れいれいてい・りゅうきょう)を祖とする「柳家」(「柳亭」「春風亭」と並び「柳派」と呼ぶ)、そして、江戸後期、三遊亭圓生の門下だった古今亭志ん生が独立した「古今亭」、幕末の麗々亭柳橋の弟子だった春風亭柳枝より始まる「春風亭」(現在は、落語協会の林家彦六一門と落語芸術協会の六代目春風亭柳橋一門の二つの流れがある)などがある、と書かれています。
そうだったのかあ~
落語は勉強するもんじゃありませんけど、長年の難問が解けた感じで、この本を読んでスッキリしました(笑)。また、寄席に足を運ぶつもりです。
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