森永卓郎著「投資依存症」(三五館シンシャ、2024年9月16日初版)を読了しました。個人的には異様に面白くて、わざわざ購入して、こうしてブログに取り上げることにしたのですが、古い友人からは、「趣味領域の違う読書感想文を読む気力もあまりありません」とのメールを頂戴してしまいました。
そりゃあ、そうですよね。全くその通りで、ぐうの音も出ません。
私自身も残り少ない人生、自分の読みたい自分の趣味に合った本だけを選んでこれからも読んでいくつもりです。救いなのは、ブログというものは、テレビやラジオとは違って、スイッチを入れれば、何もしなくても自動的に記事が飛び込んで来るわけではなく、特に読みたい方、たまたま検索に引っ掛かった興味を持った方が読んでくださるわけで、私自身も趣味が合わなかったり、主義主張が合わなかったりする人には読んでほしくありませんよ。ただ、ブログをプロとしてやっている限り、「読まれてナンボ」の世界ですから、読者の皆さんからの共感を得られなければ、さっさと退場するだけだと思っております。
投資もギャンブルもお金は増えない
前置きが長くなりましたが、この本の結論は、「これからまたバブルが崩壊して株価も暴落して、老後資金も全て失うことになるから、今のうちにさっさと投資はやめなさい」というものです。何故なら、著者の森永氏には「投資の本質はギャンブル以外の何ものでもない」という信念があるからです。
あれっ?ギャンブルとは投機のことであり、投資はギャンブルではないのでは?と私は思いましたが、森永氏の考え方は違います。あくまでもお金というものは投資などをして自動的に増えるものではなく、お金が増える唯一のルートは「働く」ことだというのです。
投資もギャンブルもゼロサムゲームで、勝つ人がいれば負ける人もいる。トータルで見れば、全体のお金は全く増えないからです。なるほど、そこまで言われれば、全面的に賛成できなくても、納得せざるを得ませんね。
ギャンブルで唯一、勝者になれるのは「胴元」以外いないというわけです。同書63ページに「ギャンブルの払い戻し率」が掲載されておりますが、競馬74.1%、競輪75.0%、サッカーくじ49.6%、宝くじ45.7%…等と具体的な数字が出ています。この数字の意味するところは、馬券を買うと、買った時点で4分の1のお金を失うことになる。宝くじの場合、買った途端、約半分のお金が消えることだというのです。最初から差し引かれて胴元の手に入るからです。ジャンボ宝くじ1枚300円。100枚買えば3万円ですが、買った時点で、この商品はその半分の1万5000円の価値しかなかったことになります。たとえ、3億円当たったとしても、その確率は2000万分の1。まるで詐欺みたいな話ですね。
世間には最初から損するつもりで馬券や宝くじを買う人は一人もいませんから、「もし当たったら」という射幸心や興奮などを期待して買うのです。ですから、ショバを立てる胴元さんは「エンドルフィン代としては安いもんじゃねえか」と開き直ることでしょう。
騙される方も悪いのです。と、森永氏は言います。特に、SNS型投資詐欺で、利用された著名人のナンバーワンはこの森永卓郎氏らしいのですが、そもそもこれだけ、昔から「投資はやめなさい」と口酸っぱく著作でもメディアでも講演でも繰り返し主張している森永氏が投資を薦めるわけがないというのです。それに投資を薦めるには金融庁に届け出をしなければならず、森永氏がそのリストに載っていないのは確かで、それは金融庁のホームページで簡単に調べられるというのです。
また、森永氏本人の証明として偽造した森永氏のパスポートの写真を詐欺グループは送って来ますが、住所が東京都渋谷区代官山町になったりしています。森永氏のファンだとしたら、少しぐらい彼の著作を読んでいるはずで、それらを読めば、森永氏の住所が埼玉県所沢市だということぐらいは知っているはずだというのです。
確かに、その通りです。被害に遭われた方は本当に気の毒ですが。
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