英語は覇権主義国家米国の影響で、最も汎用性の高い言語ではありますが、修得するには最も難しい言語ではないでしょうか。特に日本人にとって。むしろ、漢字文化圏に取り込まれているので中国語の方が優しいのでは?
何故、日本人にとって英語が難しいのかと言いますと、アルファベット26文字しか使われないからだと私は思っています。だから、一人称を表すのに、日本語なら「私」「僕」「俺」「あたし」「我」「あたい」「吾人」「余」「自分」「拙者」…などと沢山あるのに、英語には「I」の一文字しかありません。その一文字が日本語の全ての表現を代行するので、瞬時に意味を判断しなければなりません。
要するに、一つの単語に信じられないような意味になるケース(多義語)が英語に関しては多いのです。例えば、bookは「本」ですが、「予約する」という意味でも使います。doctorは「医者」とか「治療する」という意味が普通なのですが、「誤魔化す」とか「不正する」とか真逆の意味で使うことを知った時は驚きました。
もう一つ、日本人にとって難しいのは、冠詞です。定冠詞「the」ならかろうじて分かりますが、不定冠詞の「a」は、名詞につける時もあれば、つけない時もあるので、「一体、どっちなんじゃい?」と叫びたくなります。
そんな折、面白い本に出合ました。澤井康佑、マーク・ピーターセン著「英作文の技術」(中公新書)という本です。著者が考案した「3世界・24文型」を覚えなければなりませんが、日本語にも精通した米国人のマーク・ピーターセン明治大学名誉教授による日本語と英語の微妙なニュアンスの違いに着目した解説が非常に面白く、参考になりました。
例えば、一つだけ例を挙げますと、「keepの後ろには形容詞のみを置く」という決まりです。だから、She kept silent. と言えても、She kept silence.とは言えないことになります。(本文には書いていませんが)
また、keepは、「主語が自らの意思でそのままでいる」という場合にしか使われない動詞だというのです。だから、He kept feverish. (彼は熱っぽいままだった)とかHe kept comatose.(彼は昏睡状態のままだった)といった表現は使えません。自分の意思ではないのにそういう状態になった時にkeepは使えないからです。その代わりに He stayed feverish. とかHe remained comatose. といった言い方をします。つまり、keep の代わりにstayや remainを使うのです。
こういうのって、日本人は直感的に区別がつかないし、分かりませんよね?
しかし、ご安心ください。ピーターセン氏によると、英語を使う母国人も子どもの時にいちいちその違いを覚えているというのです。
歳をとると、物忘れと同時に物覚えも悪くなります。やはり、語学は「鉄は熱いうちに打て」で、せめて中高生の多感な時期に集中して覚えるのが一番ですね。

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