座学よりも見学ツアーの方が面白い諜報研究会

「山本武利著作集」第1回配本第7巻(文生書院) 書評
「山本武利著作集」第1回配本第7巻(文生書院)

 NPO法人インテリジェンス研究所が毎月のように開催する「諜報研究会」は、今年7月開催を終えて、8月と9月は夏休みで10月に再開する予定でした。それが、「10月ではなく、11月15日開催に延びます」との「おわび」の連絡が主宰者側から連絡がありました。

 同研究所の理事長である山本武利・早稲田大学・一橋大学名誉教授が目下、ライフワークの全10巻の「著作集」の編集・校正の追い込みで、時間的に余裕がなくなったというのが主な理由でしたが、それなら、わざわざ、「おわび」にすることもないのになあ、と私なんか思いました。

山本武利氏はジョン・レノンと同い年

 山本武利氏は、「メディア・宣伝・諜報の社会史」が専門の学者で、ジョン・レノンと同じ1940年生まれですから、今年85歳です。諜報研究会を主宰し、60年以上も旺盛な研究活動を続けている姿には本当に頭が下がります。

 私自身は、長年マスコミで記者をしていたので、明治以来のメディア史に関しては普通の人より関心がありますから、山本氏の著作は何冊も読まさせて頂きました。諜報研究会には、途中、病気のため参加できなくなったこともありましたが、第1回から参加しておりました。今年11月開催で第69回にもなるというので、驚くばかりです。これは山本氏以上に、陰で支えている事務局長の正田浩由氏らの下働きによるものだと思いますが。

不思議な縁

 諜報研究会で特に私が興味深く、印象に残っているのは、「見学ツアー」でした。例えば、2017年11月に開催された「東京・西早稲田の戸山」は、戦前、陸軍の機密軍用地で、731細菌部隊で有名になった石井四郎が教官を務めた陸軍軍医学校や、石井が亡くなった東京第一陸軍病院や、諜報部員も養成したであろう陸軍戸山学校などがありました。この他、2018年5月に開催された「九段下~北の丸公園」や、市井の近現代史研究者である名倉有一氏による東京・お茶の水の旧参謀本部駿河台分室の見学ツアーも印象に残っています。ここは、太平洋戦争中、対米謀略放送「日の丸アワー」などを放送していた所で、1921年に西村伊作らによって創立された「文化学院」が、戦時中に摂取されて捕虜収容所になった所でした。現在は、家電量販店ビックカメラ系の衛星放送BS11本社になっていました。これには不思議な縁を感じました。

 あと、2018年6月には「陸軍中野学校跡巡り」もありました。やはり、座学、つまり机上の空論?よりも、現場調査が一番面白いですね。また開催してほしいものです。

諜報研究会は、どなたでも参加出来ます。詳細は、インテリジェンス研究所のホームページをご覧ください。

「山本武利著作集」(文生書院)の動画

 さて、最後に、目下、「山本武利著作集」(文生書院)の編集・校正作業でお忙しい山本氏の最新の近況が動画で届きましたので、以下に掲載しておきます。これは、あくまでも宣伝活動の一環です(笑)。

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