この頃、ニュースソースについて考えています。情報源のことです。私は長年、通信社の記者として活動してきましたから、その経験談も交えて開陳したいと思います。
哲学的論考ではないので、そんな堅い話ではありません(笑)。
先日ラジオを聞いていたら、「国際政治学者」という方が、今のイラン情勢について、かなり理路整然と、的確に分析し、解説されていました。失礼な言い方ですが、私は、彼女は学者さんなのに、何故、それほど多くの裏情報に精通しているのか最初は不思議でたまりませんでした。ジャーナリストなら分かります。当事者と直接会って、色々と裏情報が入ってきたり、自分で外電を翻訳しているからです。
でも、冷静に考えてみたら、彼女自身が、特別な情報源を持っているわけではなく、既に報道されている記事から「拝借」した情報に過ぎないことが想定されます。恐らく、彼女は、AP通信、NYタイムズ、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナル、CNN、ABC、 NBC、CBS、FOX、フォーリン・アフェアズ…タイムズ、ガーディアン、エコノミスト、BBC、ロイター、タス、AFP、ルモンド、アルジャジーラ…とあらゆる世界の有力紙・誌や通信社、テレビ局の報道に目を通していることでしょう。フォローするだけで1日5〜6時間は最低掛かると思います。
私が「裏情報」だと思ったことは、単に、私が知らなかったということだけで、どこか新興のネットメディアからの情報かもしれません。
考えてみれば、国際政治学者も、ジャーナリストと同じように、世界中のあらゆる情報機関から情報を収集することが仕事の一つです。アカデミズムだけでなく、官庁の外郭団体(アジア経済研究所など)や、シンクタンクと呼ばれる金融、証券、商社、エネルギー機関の総合研究所も同じように既存の情報機関や官公庁が発表する統計などから情報を収集しているはずです。勿論、現地に派遣している生の情報もありますが。
タレントのスキャンダル
話は飛びますが、もう30年ぐらい昔、私が芸能記者だった頃、あるタレントのスキャンダルを追ったことがあります。いや、別に追っていたわけではなく、たまたま「囲み」で、そのタレントの浮気話を立ち聴きしただけすが(笑)。その時、タレントを囲んでいた記者はわずか3人だけでした。もともと、私が所属するメディアでは「字」になりませんから、私は聞き流していました。それに、話もスキャンダルとまで行かず、不倫というより夜遊びみたいな話でインパクトに欠けた話でした。案の定、翌日のスポーツ紙にも記事として載りませんでした。
そしたら、その週に発売された週刊誌に、雑報として小さく記事が載っていたのです。週刊誌にバラしたのは私ではなかったので、リークしたのは、あの時、タレントを囲んだスポーツ紙のA記者か一般紙のB記者しかいません。ま、どちらでも良いのですが、その時、現場に立ち会って、この記事の「情報源」を知っていたので、妙に快感を覚えたことがありました。何故なら、このリークの情報源を知っているのは、私を含めて世界で3人しかいないからです(週刊誌の編集者は除く)。
このタレントさんの話と世界情勢の話とは全く関係も関連性もありませんが、ただ、情報源に関しては、案外、複雑ではない、ということを私は言いたいのです。最初に出てきた優秀な国際政治学者さんのニュースソースも既存メディアの情報だということは間違いないと思います。それ以外に考えられることは、彼女の留学時代の友人がその国の政府高官になっていて、その高官から得る情報もあるかもしれませんが。
でも、今や、世界一の軍事大国の大統領が、こちらから取材しなくても、向こうから、毎日のように情報を垂れ流してくれる時代になりましたからね。
フェイクニュースは今に始まったわけではありません。政治家はいつの時代も、相手を打ち負かそうとして、脅したり、すかしたり、ブラフをはったりしてわざと偽情報をばら撒くことがあります。トランプさんはビジネスマンですから、嘘もハッタリも戦略の一つだと考えているのでしょう。

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