藤原作弥さんの追悼文にまつわる色んなお話

「金融財政」2025年11月10日 《藤原作弥さん追悼号》keiryusai.net 雑感
「金融財政」2025年11月10日 《藤原作弥さん追悼号》keiryusai.net

 時事通信社の解説委員長から日銀副総裁まで務め、昨年10月に亡くなったノンフィクション作家の藤原作弥さん(行年88歳)の追悼文を大学関係者から依頼され、このほど脱稿しました。

 藤原さんと私は、時事通信社と大学(東京外国語大学)学部学科(外国語学部フランス語科)の先輩と後輩に当たるので、白羽の矢か、赤羽の矢か知りませんが、私に当たって来たのです。しかも、大学の校友会誌とフランス語科の「仏友会」誌の2本もです。色んな方が断った挙句、周りまわって私にしょうがなく依頼が来たようですが、我ながらよく引き受けたと思います(苦笑)。

 藤原さんとは会社では直属の経済部の後輩ではありませんでしたが、何かとご縁があって、仕事とプライベートの両面でお世話になりました。追悼文では、そんなお世話になった話を書きましたが、何しろ、身近な人でしたので、それ程、ノンフィクション作家としての藤原さんの作品を読んでいたわけではなかったので、最初から彼の資料集めと関連書籍の読破でかなりの時間とお金を費やしました。

 また、元会社の先輩、同期、後輩にも直接会ってもらい、藤原さんにまつわる逸話を取材したりしました。お陰で、追悼文には書き切れないことが沢山出て来て、勿体無い感じがしました。

「金融財政」に52年間もコラム連載

 藤原作弥さんは、時事通信社が会員向けに発行する「金融財政」=写真=という小冊子に1973年から2025年まで実に52年間も「カラム・コラム」というコラムを書き続けました。読者というのは、銀行、信用金庫、生保、証券といった金融関係の会社の役員や従業員や財務省や金融庁などの官僚さんらが主でしたが、内容は、金融とはあまり関係ない自身の怪我や病気の話、面白かった舞台や映画、美術館の話といった肩の凝らない読み物の方が多かったでした。それなのに、コアなファンが多く、退職(退官)しても、「カラム・コラム」を読みたいがために、個人的に「金融財政」の購読を続けた人もいたぐらいでした。(特に熱烈な愛読者は、「戦艦大和ノ最期」で知られ、日銀職員でもあった吉田満氏)

 「カラム・コラム」は、「攻守ところを変えて」(時事通信社)や「素顔の日銀副総裁」(集英社)など何冊も単行本化されているので、ご興味のある方は是非お読みください。

幻の原節子評伝

 これだけ藤原作弥さんに関して「取材」しましたので、追悼文だけでは書き足りないことが沢山出て来たことは先述した通りです。キリがないので一つだけ挙げるとしますと、藤原さんには戦前の満州の映画スターから戦後は国会議員や外交官夫人としても活躍した「李香蘭 我が半生」(新潮社)がありますが、李香蘭こと山口淑子さんと同じ1920年生まれの大スター原節子の評伝記も出版する予定だったことを知った時は驚きました。

 藤原さんは、かなり原節子さんの資料を集め、関係者とのインタビューにも着手しましたが、肝心要の御本人に、あらゆる伝手(つて)を頼って取材をお願いしましたが、最後まで会ってもらえず、結局、出版は諦めたというのです。

 ご存知のように、原節子さんは、名監督小津安二郎の死後、完全引退を宣言して、鎌倉の某所で隠遁生活を送り、いかなるマスコミの取材にも応じることなく亡くなりました。李香蘭こと山口淑子さんが戦後、テレビのワイドショーの司会者として活躍するなど最後まで現役を貫き通したのと正反対に、原節子さんは最期まで自分で信念を曲げなかったのです。でも、綿密な取材で定評の藤原さんの評伝でしたら、読みたかったなあ、と思いました。

著作権は有料です

 藤原作弥さんの追悼文を脱稿し、担当の方にお送りしたら、何と「藤原さんの何か良い写真はありませんか?」と聞いてくるのです。正直、私は藤原さんは身近過ぎて、一枚も一緒に写った写真はないのです。そしたら、担当の方は「時事通信社のネットに出ていた藤原さんの写真を使えませんか?キャプションに『時事』と入れれば、会社のアピールになると思いますが…」と仰るのです。

 そう言われて、私は激怒してしまいました(笑)。私はもう時事通信社を退職した者で、関係ないと言えば、関係ないのです。それに、担当の方は誤解されていますが、「時事」というクレジットは、時事通信社の宣伝ではなく、例えば、テレビ番組で時事通信社の画像や動画を使用した時に「時事」とクレジットを付けるのは、「無断使用ではありません。時事通信社に対して、ちゃんと著作権を支払っていますよ」というアリバイ証明なのです。

 著作権の使用料は、ディズニーや、キティちゃんのサンリオ、それにピカソやマティス、藤田嗣治らの美術作品掲載などでも発生し、ビジネスとして行われています。

 一般の人はそんな業界の常識を知らないので吃驚してしまったわけです。ちなみに、写真を出版物で使用する場合、安くてもモノクロは6600円、カラーは2万2000円もします。テレビだと安くても1万6500円します(時事通信フォト)。

 まさか、時事通信OBという先輩風を吹かして、これを値切ることなんか出来ませんよね? しかし、担当の方は「是非、聞いてみてください」と仰るのです。

 気が引けましたが、担当の方があまりにも熱心なので、交渉してみました。先程、折り返し電話を頂き、「大学の校友会誌という市販されない非商業誌であり、高田さんにはお世話になったりしましたので、今回は特別に(無料で)いいですよ」と許可してくださったのです。有難いことです。まあ、確かに、「時事通信フォト」というアーカイブの中には私が「記者撮り」した文化人ら何枚かの写真も「商品」として含まれいるはずです(笑)。それに、何と言っても、追悼文は、営利目的ではないので、原稿料の話は聞いていませんからね。

 しかしながら、私もここまで時間とお金を費やして、大学当局に尽くしましたから、追悼文の最後にこのブログの宣伝をさせて頂きました(笑)。

 「続きは《渓流斎日乗》をお読みください」

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