若い頃の旧い友人(女性)から急に電話が掛かって来ました。「相談したいことがあるの」というのです。私は色男ですから、「金も力もなかりけり」。それでも良ろしければ、ということで、こちらから後で掛け直すことにしました。ちょうど、その時、「小春日和」という日帰り温泉に入っていたからです。
午後になって掛け直すと、深刻な問題でした。彼女のことではなく、彼女の年長の友人である勝俣さん(仮名=女性)の問題でした。勝俣さんは、かつて時事通信社の商況部に勤務していた先輩なので、私も顔と名前は知っています。その勝俣さんは91歳になり、少し、認知症気味になり、最近、高齢者施設に入居しましたが、「どうもおかしい」と旧友は言うのです。
勝俣さんは独身で、親もきょうだいも既になくし、仲の良い親友も先立ってしまったので「天涯孤独の身」です。都内の公団に住んでいました。そこで隣近所の吉野さん(仮名=女性)と親しくなり、その口がうまい50代ぐらいの吉野さんの勧めで、高齢者施設に入居しましたが、月33万円もする高級施設で、本来なら年金暮らしの勝俣さんの経済力では入居できるはずがないのです。
それなのに、勝俣さんに取り入った吉野さんは、勝俣さんの経済事情まで把握し、旧友に対して、「勝俣さんは証券を持っているから大丈夫なのよ」と言う始末。しかも、勝俣さんの印鑑まで吉野さんが預かっていると言うのです。
財産乗っ取りか?
その後、勝俣さんから「会いたい」と旧友に電話が掛かってくるので、施設に問い合わせると、「吉野さんの了解がないと面会できないことになっています」と断られ、勝俣さんに折り返し電話すると、旧友の電話番号はブロックされて通じなくなっていると言うのです。
「吉野は、勝俣さんの財産を乗っ取ろうとしている」と旧友は言うのですが、私はこの話を聞いただけでは、何とも言えません。すると、旧友は「勝俣さんには昔から大変お世話になっているし、色々と相談にも乗ってもらったことがあったので、彼女の後見人になってみようかしら」と言うのです。つまり、「成年後見制度」の手続きをするかどうか、旧友は迷っているようだったのです。私は「それは、良いんじゃないですか、是非」と勧めました。
そしたら、旧友は、パッと顔に陽射しが差したような明るい表情になり(とは言っても、電話なので顔は見えませんが)、「そうね、そうね。そうすることにするわ」と言って、電話を切りました。
「人生100年時代」などと謳歌する言葉だけは世間に満ち溢れていますが、その影には色んな「落とし穴」があることを気付かされました。人間、真面目に生きていても、最後まで厄介なことに遭ってしまうものですね。私にも周囲に、独り暮らしの「うじが湧く男やもめ」(差別用語)が3人もおります。3人とも親友ですが、そのうち2人は、住む所がかなり遠く離れているのが難点です。
今年は「明るく、楽しく、前向き」に生きる覚悟でしたが、また心配事が増えてしまいました。

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