神保町は古書店街からグルメの街へ?

東京・神保町 三省堂は工事中です 雑感
東京・神保町 三省堂は工事中です

 10月29日、東京・御茶ノ水の病院での定期検診に行ったついでに、私の好きな神保町に久し振りに行ってみました。

 恐らく3〜4年ぶりぐらいなので、随分変わっていました。三省堂書店本店も工事中でした。何故、神保町に行きたかったのかと言いますと、先日、ショートツアーのガイド会社との業務契約が破綻になったことをこのブログに書きましたが、もし、契約出来たら、是非、お客さんを神保町に案内したいと思ったからでした。

 それが実現出来ず、自分自身を「引率」してみたわけです(笑)。神保町なら自信があります。もう35年近い昔ですが、文藝担当記者だったので、書評や著者インタビューなどの本探しや、小学館や岩波書店などの出版社巡りに、週に2〜3回は訪れ、ランチをし、夜は、有名な「兵六」など、路地裏の居酒屋などで飲み歩いていたから、詳しいのでした。

御茶ノ水仲通りは日大村

 自宅から神保町に行く時、大抵はJR御茶ノ水駅から「明大通り」を下って、駿河台下に行くコースですが、今回は病院帰りでしたので、「御茶ノ水仲通り」を下りました。長年、神保町通いはしましたが、もしかして、この通りを使って神保町まで行ったのは、初めてだったかもしれません。

まず、最初に飛び込んだのが、「駿台予備校」でした。私も半世紀以上昔、1回ぐらい足を踏み入れたことがありますが、どうも自分に合わない気がしてやめてしまいました。ただし、駿台予備校の英語のテキストだけは購入したりしていました。

東京・御茶ノ水 駿台予備校
東京・御茶ノ水 駿台予備校

 昔は4〜5階建ての古い建物でしたが、今や様変わりしていました。

 個人的には、駿台予備校までは来たことがありますが、この先の御茶ノ水仲通りを下ることは初めてでした。

 そしたら、日本大学の建物ばかりで、そこはまさに「日大村」でした・

東京・御茶ノ水 日大歯学部
東京・御茶ノ水 日大歯学部

 日大歯学部もあれば、日大理工学部もありました。

 先日、「日大帝国」の興亡の歴史を描いた森功著「魔窟」を読んだばかりでしたので、「ここが舞台のど真ん中かあ〜」と感慨深いものがありました。

東京・御茶ノ水 日大理工学部
東京・御茶ノ水 日大理工学部

 御茶ノ水は、日大の他に、明治大学、中央大学、専修大学などもありますから、まさに「学生の街」です。「日本のカルチェラタン」(仏パリ大学)と呼ばれたぐらいですからね。

 1960年代後半から70年代初めにかけて、日大闘争など学生運動華やかりし頃、学生たちが道路や歩道の煉瓦を剥がして機動隊に投げつけていた場面がよくニュースで取り上げられていましたが、今の若い人は知らないでしょうねえ。

 今やさっぱりと小綺麗な街になってしまったので、昔の面影など何も、何処にもありません。

グルメの街に拍車掛かる

 神保町は昔も今も「古本街」として世界的にも有名で、この他、大型スポーツ用品店と楽器店が軒を連ねていますが、最近は「グルメの街」として変わってきた感じです。若い人たちが本を読まなくなり、当然のことながら、潰れてしまう書店も出て来ます。そんな空いた店舗に新たに進出して来たのが、飲食店だからです。

 神保町には、小林秀雄や中原中也らも通った「ランチョン」や観光客に人気の「さぼうる」など老舗の飲食店はありましたから、さらに拍車が掛かった感じです。

「ボンディ」は大行列

 私がこの日、最初に目指したのは、カレー屋さんの「ボンディ」です。司馬遼太郎がトラック2台分もの資料を買い漁ったと言われる高山書店の2階にあります。初めて行きましたが、テレビで取り上げられたせいもあり、最近、かなり混んでいるという噂は耳にしていました。

 ボンディは、高山書店の正面の階段から入れないというので、裏口に回ったら、午前11時40分だというのに、凄い行列です。2階への階段もずっと人、人、人で、「このまま並んでいても1時間ぐらいかかるなあ」と思い、諦めてやめました。

「キッチン南海」も大行列

 そこで次のお店はどうしようかと思いましたが、洋食屋の「キッチン南海」に決めました。35年前、文藝記者だった頃、ランチで通い詰めた店で、懐かしかったからでした。

 以前は、三省堂本店近くのすずらん通りにありましたが、どういうわけか、倒産してしまい、「どうにか復活してほしい」とのお客さんの声で再開したりしましたが、何回か移転したという噂も聞いていました。今は、すずらん通りを奥に入った所に復活したというので、行ってみたら、正午前だというのにこの有様です。

東京・神保町「キッチン南海」 長い列で諦める
東京・神保町「キッチン南海」 長い列で諦める

 この分ですと、また1時間近く並びそうです。ランチより時間の方が大切ですから、この店も諦めました。

 さて、どうしようか?

カリーライス専門店「エチオピア」

 結局、神保町のカレー屋さんではボンディと並ぶ有名な「エチオピア」に行くことにしました。駿河台下から明大通りを上った少しの所にあることは前から知っていました。

東京・神保町「カリーライス専門店 エチオピア」
東京・神保町「カリーライス専門店 エチオピア」

 そしたら、一人の若い女性が自動券売機の前で立ち往生しているだけでした。この女性、タチが悪く、人が後ろで並んでいるというのに、2分近くも自販機の前で「何にしようか」と動かないのです。世の中には、こういう冷静で、周囲を全く気にしないマイペースな人類がいることを知り、勉強になりました。

東京・神保町「カリーライス専門店 エチオピア」ビーフカレー980円(他にマンゴープリンも付きます)
東京・神保町「カリーライス専門店 エチオピア」ビーフカレー980円(他にマンゴープリンも付きます)

 でも、運良く、直ぐに席に座れました。出入り口には5〜6人の人が並んでいました。

 やはり、これだけ有名ですから、味は確かでした。カレーを注文したのに、ポテトとプリンまでランチの「おまけ」に付いていました。給仕係と料理人は、恐らく、ネパールかスリランカの人ではないかと思われました。

 神保町では、「古本屋まつり」の真っ最中でしたが、事情があって、ゆっくり本を読むことができませんでしたので、そのまま帰宅することにしました。

周恩来ゆかりの店

 途中で、有名な中華料理店「漢陽楼」があるので、寄ってみました。もし、私がガイドでしたら、必ず、コースに入れる店です。

東京・神保町「漢陽楼」
東京・神保町「漢陽楼」

 「漢陽楼」は「周恩来ゆかりの店」として知られています。何しろ、明治44年(1911年)創業です。

 27年間も首相を務めた周恩来(1898〜1976年)は、若き日、日本に留学したことがありました。その時、よく通った店が、この「漢陽楼」だったのです。特に、周恩来の故郷である中国浙江省の家庭料理である「獅子頭(シーズートウ)」が大好物で、お金がないので、月に1回、自分へのご褒美として食していたそうです。現在、この店で、「獅子頭」は2200円(税込)で食べられるようです。豚肉を包丁で叩いて練り、拳大にまとめて、一度揚げてから、上湯(シャンタン)でじっくりと蒸す料理です。

 「数限定」で15分ぐらい待たされるそうですが、いつか挑戦してみたいと思いました。

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