食の安全はどこへ? 企業広報の防諜活動とメディアの不都合な真実

スーパー地下食品売り場(出典Wikimedia Commons)※本文とは関係ありません 雑感
スーパー地下食品売り場(出典Wikimedia Commons)※本文とは関係ありません

 この渓流斎ブログを長年御愛読して下さっている皆さまにはお分かりでしょうが、私が最近興味を持っていることは「食の安全」です。特に食品添加物です。市販されている加工食品・飲料には、添加物が挿入されていないものはないといっても過言ではないので、気にしたらキリがないのですが、それでも「情報」として知っておくべきではないかと思うようになりました。

 具体的な社名は挙げませんが、L-グルタミン酸ナトリウムを使用している調味料会社があります。L-グルタミン酸ナトリウムは動物実験で毒性はそれほど見られていませんが、大量に摂取するとしびれや動悸、眩暈、だるさなどの症状が出る人がいるといいます。この会社は世界的な会社ですからほとんどの加工食品等に使われています。

 私ではなく、私の同僚がこの会社を取材した時の逸話を聞かせてくれたことがあります。マスコミが企業を取材する際は、「広報」が窓口になります。この会社の広報は長年の実績から色々と心得ていて、出来るだけ記者がネガティブな記事を書かないように色々と懐柔策を講じるそうなのです。田沼意次の時代ではないので、賂(まいない)は飛びませんが、色々とお土産が出るそうです。

 まあ、商品発表の記者会見では大体、簡単な記念品みたいなものが出ますから、そういうものは社会的通例となっているので、この食品会社が特別だというわけではありません。ただ、この会社は、特にネガティブな記事が出ないように、記者から言わせると「都合の悪い記事」が出ないように、色んな角度から対策を講じているというのです。

重要なカウンター・インテリジェンス

 企業広報というものは、商品を「宣伝」することが主な仕事のように見られますが、実は、不都合な情報が洩れないように、カウンター・インテリジェンス(防諜)の方が重要な時があります。このカウンター・インテリジェンスという言葉は、長年、NPO法人インテリジェンス研究所(山本武利理事長)が主催する諜報研究会のある講演で私は知りました。防諜とは、政治や軍事用語のように思えましたが、実は、我々が普段の生活で接する企業や官公庁など政財官界人が一番使っているのではないでしょうか?

 一番有名な逸話は、テレビのサスペンス・ドラマで、脚本家が、犯人が自動車事故と見せかけて殺人を犯す場面を書いたとします。でも、もし、その番組のスポンサーが自動車会社だったりすると、まず、その脚本は削除か、書き換えを要求されるという話を聞いたことがあります。

 つまり、大手メディアは、企業がスポンサーで、新聞も広告収入に影響しますから、企業に不都合な真実の番組や記事は出せないのです。相変わらず、「どこそこの店がうまい」とか、「今、〇〇が流行っていて大行列です」といった番組しか流さないのです。

 まず、テレビで「食の安全」や「食品添加物」を主題にした番組を制作することなど出来ず、皆無でしょう。企業や官公庁にとっての不都合な真実は、出来るだけ隠蔽されます。まさに、カウンター・インテリジェンス(防諜)活動です。

 SNSは、一方的な「我田引水」情報と、ステルス広告だらけですから、もう言わずもがなです。

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