オールドメディアの衰退はネット広告のせいか?

ネット広告の概略例 Wikimedia Commons 雑感
ネット広告の概略例 Wikimedia Commons

 今から30年前の1995年は、Windows95が発売されて大騒ぎするなど「インターネット元年」と呼ばれています。振り返ってみれば、私自身もこの年に初めて自分のパソコンMacBookを購入してインターネットに繋いだものです。当時は、まだ初期の初期の段階で、ダイヤル方式といって、電話回線にいちいちモデムを繋がなければなりませんでした。「ピー、ゴロゴロゴロ」といって、開通するのに何度も失敗して2~3分も掛かることがありました。ブラウザのネットスケープナビゲーターの反応が遅く、何か、画像を映し出すには1分前後掛かり、イライラしました。まだ文章が中心でしたが、液晶画面で見ると目が疲れてしまい、直ぐに飽きてしまいました。正直、こんなもん流行らず、近いうちに消えると思っていました。

 それが、素人の浅はかさでした。一方で、「これは商機だ!」と見抜いた三木谷さんたちは大成功を収めました。通信方式がADSLから光通信、Wi-Fiへと新種のスムーズな回線が開発され、今や動画中心となり、新聞、ラジオだけでなく、テレビまで超えてしまいました。同時に広告収益についても同じことが言え、今やネット広告が席捲し、世界を支配していると言っても言い過ぎではありません。

ネット利用者は8000万人

 先日、拝聴した新聞通信調査会のシンポジウムで発言されていた伊藤昌亮成蹊大教授によると、現在、日本でのネット利用者は約8000万人だといいます。そのうち、人騒がせなネット炎上事案は全体の1~2%、ネット右翼と言われる人々も、1~2%と推定されるそうです。世論調査では、1%の数字は統計的に相手にされませんが、ネットの1~2%ともなると、100万人ぐらいの人間に相当するので、この100万人が多いか、少ないか、人によって判断が分かれることでしょう。

 私は、逆に言うと、残りの98~99%は良心的、とまで言えなくても、普通の人だということで、炎上事案が1~2%は、意外にも少ないと思いました(ただし、詐欺師も多いので何%かの利用者は詐欺師であることは差し引いて考えなければなりませんが)。また、ネット利用者8000万人というのはかなり多いと分かりますが、これまた、逆に言えば、残りの5000万人近い日本人は、ネットなんかやっていないということになります。今年は昭和100年ですから、ネットを利用しない人の大半は高齢者で、昭和のアナログ世代なのかもしれませんが…。

高齢者は不必要な物は買わない

 かつて、ラジオやテレビの聴取率、視聴率は、主にスポンサーが商品を売り込む際に最も多く利用していましたが、あるFMラジオ局のアンケートの対象が、10代から55歳程度だったことを思い出しました。つまり、高齢者はもうモノを買わないので、スポンサーとして相手にしていないことを意味します。商品資本主義、金融資本主義の権化みたいな話です。

 その点、ネット広告は、年齢から性別、収入まで分かってしまいますから、ピンポイントで、「売れそうにない」「どうしても必要不可欠でもない」商品を売り込むツールとして最適です。ネットを利用しない人の大半が、不必要な物は買わない、買えない高齢者なら、ネット広告として無視できる階層であり、好都合になるわけです。

 オールドメディアが衰退したのは、ネット広告のせいだと言えるのではないでしょうか。

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