(昨日の続き)
昨日、拙ブログで予告した通り、本日は曽我純博士のことを書きます。最近、とみに親しくさせて頂いている人生の先輩です。最初に知遇を得たのは毎月1回、土曜日に東京・渋谷のおつな寿司で開かれていたセミナーで、もう30年以上も昔の話です。当時は名刺を交換し2~3言葉を交わす程度でしたが、どういうわけか、何の風の吹き回しなのか、最近は、東京・荻窪にある近衛文麿の自宅だった「荻外荘」巡りや、井伏鱒二の旧邸と太宰治の下宿跡巡りの「案内役」を買って出ってくださったりしております。
週刊マーケットレター
「博士」というのは、曽我氏が経済学博士号を取得しているからです。アカデミズムの世界には進まず、証券会社の調査研究機関に長らく勤務しておりましたから、かなりのインテリです。経済だけでなく、美術骨董好きで、私の知らない画家や陶芸家の話をされるので、つい聴き入ってしまいます。
これまで、拙ブログでも「S氏」として登場させてもらいましたが、お名前を出したのは、曽我氏がネットで、「週刊マーケットレター」という投資家向けの経済分析記事を定期的に執筆していたからでした。
過日、曽我氏と懇談していた際に、「パソコンで『曽我純』と検索すると出て来ますよ」と、ぶっきら棒に仰っていたので、その日の晩に自宅で検索してみたら、彼の顔写真と経歴が出てきたので吃驚してしまったのです。
彼のマーケットレターは、かなり専門的で、私の渓流斎ブログとは雲泥の差です。私の方が、遥かに格下の格下です。(赤澤経済再生相)。ただ、投資家向けと言っても、少子高齢化の問題や国際問題にも目配りしています。株価にせよ、為替にせよ、森羅万象の問題がそれらに影響を与えますからね。
それでいて、御本人は、一切投資しない、というのです。実体験しないと分からないので、かつては少し投資をしていたようですが、今は手を引いているようです。「新NISAなんか、とんでもない」と否定するぐらいです。
人口動態統計に注目
ですから、曽我氏は、携帯もスマホも持っていません。曽我先生と連絡を取るには自宅に電話するのが一番ということになっています。今でも昭和時代が続いています(笑)。彼の独自の経済分析や解釈は、新聞やラジオ、テレビ、はたまたネットニュースといったメディアからではなく、官庁が発表する統計データによって生み出すという話を聞きました。最近では、特に、厚生労働省が発表している「人口動態統計速報」に注目しているそうです。例えば、このデータによって、最近分かったことは以下の通りです。
新型コロナウイルス感染症による死亡は2020年4,106人、2021年16,756人、2022年47,638人、2023年38,086人、2024年9月までの9カ月では29,457人と前年同期32,022人の8.0%減にとどまっており、依然、新型コロナは衰えていないのである。
曽我純「出生増ではなく大砲を選ぶ政府」
曽我氏は「どうですか? いまだに新型コロナで3万人近くの人が亡くなっているというのに、メディアは一切、報道しないでしょ?」とメディア不信を語るのです。確かに、今のテレビは、民放だけでなく、NHKまでもが、TOKIOの国分太一さんのことばかり報道していますからね。
曽我博士は目下、「認知症」に関して最も関心があり、「週刊マーケットレター」に書かれていますので、御興味のある方はリンクを貼っておきましたので、お読みください。
バルザック「ゴリオ爺さん」はお勧め
先日、曽我氏と懇談した時は、「バルザックの『ゴリオ爺さん』は面白かったですねえ」と急に仰るので驚いてしまいました。
トマ・ピケティの世界的ベストセラー「21世紀の資本」を読んでいたら、「ゴリオ爺さん」が引用されていたので読んでみた、ということでしたが、経済学博士さんが19世紀のフランス文学に関心を持って頂くとは、フランス語を専門的に勉強してきた私としては嬉しい限りでした。彼とは握手したくなりましたよ。確かに、「ゴリオ爺さん」は名作中の名作で、単なる風俗ではなく、細かい金銭の価格が出てきて、19世紀のパリの社会が分かる経済小説になっていますからね。
まだお読みになっていなければ、お勧めです。
あ、忘れてましたが、前回、曽我氏のことを「フリー・エコノミスト」と書いたのは、週刊マーケットレターは原稿料が出ず、ただで書いているというからです。フリーとは「自由」ではなく、「ただ」という意味です。私も今のところ、このブログをただで書いてますから、フリー・ジャーナリストです(笑)。
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