成田悠輔著「22世紀の資本主義」(文春新書)を読了しましたが、私のような昭和アナログ世代の頭では全てを理解することが出来ず、単なる感想文に終わってしまうことをお許しください。
そもそも、何でこの本を読んだのかと言いますと、以前に渓流斎ブログで、「高齢者は集団自決しろ」と発言したこの成田悠輔さんを批判する記事を書いたからです。彼の著作は一冊も読んだことがなかったので、一冊も読まないで彼を批判するのは卑怯ではないか、と思ったからでした。
専門用語に立ち往生
巻末の略歴によると、彼の専門は、「データ・アルゴリズム・ポエムを使ったビジネスと公共政策の想像とデザイン」ということになっておりますが、これ自体、私にはさっぱり理解できません。昭和アナログ世代ですからね。
本文では「NFT(代替できないトークン)」や、あらゆる価格が人それぞれに変わる「一物多価」や招き猫アルゴリズムが食べて作るデータから唯一無二の証が発行される際、そのやり取りを証明する「アートークン」など、彼独特の専門用語が散りばめられているので、個人的に読解が行き詰ってしまったのではないかと思っております。成田先生からは「お前なんかに分かってたまるか!」と罵倒されそうですが…。
共鳴する部分も
しかし、副題に「やがてお金は絶滅する」とあるように、著者はこのことを一番強調したくてこの本を書いたのではないかと推察しました。ですから、本文にある「お金から解放されるにはまずお金が必要だという世界観に住む限り、私たちはお金から解放されることはない。…稼げない人間、値段の低い人間でも何の引け目も感じずに生きられるような経済観と人生観への転換なのだ」(156~157ページ)といった部分には感心し、共鳴しました。
この本は、非常に読みやすい章と、大変読みにくい章があからさまに分かれていて、「何でかな?」と思っていたら、最後の「注記」で、以前に著者が「文学界」や共同通信などのメディアに連載した複数の記事に基づいて上梓していたことが分かりました。ま、彼は新聞雑誌だけでなく、テレビにも引っ張りだこですからね。
AIの成田悠輔が投資を勧誘
本文の中で彼自身が書いていましたが、AIを使った本物そっくりの「成田悠輔」が登場して投資を勧誘する偽サイトも多くあるようです。それだけ超有名人ということになります。その点、テレビも新聞雑誌も心得たもので、「こいつは使えるタレント学者」として御出演あそばされているということなのでしょう。何しろ、本を出せば、ベストセラーですからね。
メディアにとって、「高齢者は集団自決しろ」発言は言葉の綾で、別に大したことはない話なのです。商売、商売です。儲かりさえすれば、誰でも使います。
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