元読売新聞記者で、現放送評論家の鈴木嘉一さんが、4月26日に東京・新宿の紀伊國屋ホールで開催された「生涯一演劇記者 。杉山弘 (ひろむ)さんを語る会」の模様を知らせてくださいました。
もともと、彼のFacebookに書いたものでしたが、小生は、Facebookは詐欺事件を幇助するとんでもないSNSだと確信し、断絶してしまいました。そしたら、鈴木氏の書いたFacebookの記事さえも、再度「登録」しなければ、読めなくなってしまいました。鈴木氏にはその旨を伝え、「わざわざ再送して頂かなくても結構ですよ」と付け加えておきました。
ところが、鈴木氏は超真面目人間ですから、他にFacebookの記事を読めない人もいた、ということで、わざわざ記事を印刷してPDF化したものをメールで送ってくださいました。
https://keiryusai.net/wp-content/uploads/2025/04/IMG_20250428_0005.pdf
昨年12月に67歳の若さで亡くなった演劇ジャーナリストの杉山弘氏とは、私が時事通信、彼が読売新聞の演劇記者だった1996年頃に現場で知り合いました。彼は少しぶっきらぼうで、あまり打ち解けない人でしたが、私と年も近いこともあってやがて親密になりました。ぶっきらぼう、というのは彼が演劇に対して醒めた目で見て批評していた裏返しだったことを、彼と親密になってから分かりました。
記事を送ってくださった鈴木嘉一氏は、読売新聞芸能部(現文化部)で杉山氏の6年先輩に当たり、ほぼ家族ぐるみで濃厚な付き合いがあったようです。だから私の知らなかった杉山氏の武勇伝なんかもFacebookの記事に書いておりました。
野田秀樹さん、西川信廣さん、岡本健一さん、永井愛さん…
まず、「生涯一演劇記者 。杉山弘さんを語る会」には約150人も参加されたそうです。彼がいかに多くの人から愛されていたかという証左ですね。トークセッションでは、「NODA MAP」 の劇作家・演出家の野田秀樹さん、文学座の演出家で日本劇団協議会の西川信廣会長、俳優・ミュージシャンの岡本健一さん、「劇団二兎社」の劇作家・演出家の永井愛さんら錚々たる演劇人が登壇したそうです。私から言わせてもらえれば、これ以上ない顔ぶれです。テレビや映画にチャラチャラ出てくるあの人の名前がなかったので、もしかして参加していたかもしれませんが、杉山氏とは合わないだろうなあと思いました(笑)。
劇団四季を批判
武勇伝というのは、杉山氏が、劇団四季が創立50周年を迎えた2003年 、創設メンバーで演出家の浅利慶太芸術総監督にインタビューした上で書いた解説記事の中で、「米ブロードウェー直輸入のミュージカルは、本場の演出家が感心する技術レベルで上演されている。だが、コピーはコピーでしかない」といった批判を書いたところ、浅利慶太氏の怒りを買い、いわゆる「出入り禁止」になったことです。私は、もう当時、演劇記者から離れ、そのことを知りませんでしたが、鈴木氏は「日本でミュージカルを普及させた演劇界の大物に対しても、専門記者として書くベきことを書いた姿勢は素晴らしく、彼の先輩としても誇らしくなりました」と書いておりました。
女優さんと結婚していた!
私は杉山氏とは現場で3年ほどの付き合いで、その後は年賀状をやり取りする程度でしたので、彼のプライベートについては詳しく知りませんでした。そしたら、鈴木氏の記事の中で「新進の劇作家だった柳美里さんが率いていた劇団『青春五月党』の女優久美子さんと出会い、91年に結婚した」と書かれていたので吃驚仰天してしまいました。関係者ならどなたも御存知の「周知の事実」なんでしょうけど、照れ屋の彼は私に対してはひた隠ししておりました。
彼が生きていたら、「おい杉山君、君も隅に置けない奴だなあ」と言ってやりたかったですね。鈴木氏が送ってくださった彼の遺影を見ると、込み上げてくるものがありました。
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