世界は金権主義に支配されている?

世界のお札(Wikimedia Commons) 雑感
世界のお札(Wikimedia Commons)

 やや暴論にはなりますが、昨今の国際情勢を見るにつけ、世界は金権主義に支配されていると思ってしまいます。自由主義も共産主義もイデオロギーなんて関係ないのです。私有財産を否定して平等社会を目指す中国だって、形を変えた資本主義社会です。お金がモノを言う社会です。

 何を今さら?という話です。実は、私もそう思っております。ですから、ここから先は、差別発言となります。放送禁止用語です。ただし、差別用語は、史実として引用するだけで、私自身は差別主義者ではありません。

身分社会だった日本

 日本だって、つい80年前まで身分社会でした。公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の華族制度があり、婦人参政権もなく、富裕層と極貧層との格差は今とは段違いです。富裕層の中には美術館が出来るほど多くの泰西美術を収集した松方幸次郎氏やフランスで10年間で600億円も散財したと言われるバロン薩摩さんもおられました。上を見たらキリがありませんが、下を見てもキリがありません。極貧層の中には橋の下で暮らし、縄文時代と変わらない生活をする人たちもおりました。

 はっきり言って、差別社会でした。職業にも差別がありました。現代では花形職業ですが、戦前、不動産業は、「千三つ屋」と蔑まれていました。証券業も「株屋」とか「相場師」とか陰で言われ、特別な目で見られていました。江戸時代の士農工商のイデオロギーを引きずっていたからでしょう。金を扱う職業は卑しいということです。新聞記者だって、「ブンヤ」と呼ばれ、取材に行けば「裏口に回れ」と言われた時代でしたからね。他人の弱みにつけ込んで強請(ゆす)る興信所みたいな扱いでした。

今や逆転

 しかし、今や逆転しました。武士は没落し、笠張職人にもなれず、家名も断絶しました。「お金を稼いで何処が悪いのか?」という時代です。世界一の大国、米国の権力のトップに立ったトランプさんは、不動産王じゃありませんか。彼の口から次々と飛び出す大統領令は突飛ですが、しっかりとディールという金権主義の思想にまみれています。かつて差別された職業でも、金さえ稼げば、権力も握ることができるという典型的な例です。

 電気自動車テスラや衛星ロケットのスターリンクなどを創業したイーロン・マスク氏もその一人でしょう。トランプさんへの多額献金で閣僚級のポストという論功行賞を得ました。今度、駐日米国大使に就任したジョージ・グラスさんも元投資銀行家で、トランプさんへの大口献金者として有名です。「駐日大使までお金で?」と呆れますが、米国では、ポスト(地位)と名誉はお金で買える社会です。国王がいないので、権威付けするのはお金の多寡です。金額本位制度です。

自信満々の北尾吉孝氏

 日本に目を向けると、ゴタゴタしているフジテレビの親会社の社外取締役候補になった北尾吉孝氏は、ネット証券のSBIホールディングスの会長兼社長です。かつて差別された証券業者ですが、今は超エリートです。でも、金権主義の権化みたいです。自信満々の方で、昨日はわざわざ記者会見まで開いて「20年前は堀江君に悪いことをした。私だって間違いもすることもある」と発言し、日本国民に強烈な印象を与えました。彼のあれほどの自信はどこから来るのか想像すれば、それは彼の財力に行き着きます。ちなみに、北尾氏の祖父は、大阪朝日新聞の販売を一手に引き受ける「北尾新聞舗」を経営しておりました。

「物言う株主」というのは、お金を投資しているから発言権があるということです。日本も金権主義、もしくは、金額本位制度であることは間違いありません。

 ただし、くれぐれもお間違いなく。職業に貴賤はありません。そして、ブンヤだった私は、金権主義者たちの外に追いやられている身分ですから、こうして陰でそっと遠吠えをしているだけなのです。

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