田舎の地方都市に引っ込んで最早3カ月が過ぎました。これまで、都心の雑踏の中で、人にも揉まれ、銀座だの青山だの人形町だのと浮かれて歩いた大都会の華やかで華美な生活も今では夢幻の如しです。
自宅近くは住宅街なので、スーパーとコンビニだけは身分不相応のように乱立していますが、風情と趣のある商店街がないせいか、機能性と便宜性と合理主義のみが蔓延り、実に面白みに欠けます。
野卑で粗野な土地柄
私が今住む街は、縁もゆかりもない所ですので、何年経っても郷土愛すら湧きません。大正12年の関東大震災から100年以上経過し、いつ起きるか分からない大震災を予測して、いくら便利だからとは言っても、都心や下町や横浜の洒落たタワーマンションだけは住みたくありませんでした。郊外に住むことを決めたのは疎開みたいなようなものでした。しかし、思っていたより、遥かに治安の悪い土地柄でした。バス停で待っていると、わざとぶつかって来る欲求不満の初老男に出食わしたり、普通に歩いていても、後ろから追い越して来たスポーツ用自転車に乗って来た若い男から「おい、爺い」と絡まれて、腕を捕まれたりする教養がない野蛮な土地でした。
今では、「茲は、そういう民度が低い野卑で粗野な土地柄だ」と諦めて、人間観察はしなくなりました。狭い歩道ですれ違う時でさえ、避(よ)けて相手の人の顔を見ることはなくなりました。そのため、近所にどんな人間が住んでいるのか全く分からなくなりました(笑)。ファッションにもそれほど興味がなくなりましたから、他人がどんな服装をしようが気にならなくなりました。とにかく、人間相手はストレスの元になります。
バードウォッチング
私は、人間観察をしなくなった代わりに、バードウォッチングをする楽しみを見つけました。
昨年11月から12月にかけて甲南大学の前田多章先生による「脳と健康寿命」に関する講座を受講し、健康寿命を延ばすためには「適切な食事」と「適度な運動」と「良質な睡眠」が重要であることを教えて頂きました。前田先生は大変お忙しい方で、講座終了後、感想を含めた質問をメールしましたが、返信がなく諦めかけていたところ、11日経ってから忘れずに「回答」して頂きました。大変真面目で律儀な先生でした。むしろ、こちらが無理難題を押し付けてしまったようで恐縮してしまいました。
何が言いたいのかと言いますと、すっかり前田先生を信頼してしまいましたので、前田先生の提唱する「適切な食事」と「適度な運動」と「良質な睡眠」を実践しなければならないと思ったのです。特に、人間、経年劣化すると身体を動かすことが億劫になります。適度な運動の中で、散歩が良いと言われても出不精となり、これがあまりにも単調で面白くない。前田先生のお言葉を思い出して、無理にしているようなものでした。
そしたら、自宅近くを流れる芝川の川岸に遊歩道が整備されていて、そこを歩けば、水鳥に出合えることが楽しみになりました。自宅から車で30分ぐらいのところに「さぎ山記念公園」があるぐらいですから、この辺りは、もともとサギの生息地で、今でも芝川沿いでよくシロサギを見掛けます。あとはカルガモのような鴨たちです。
でも、昨日歩いていたら、全くこれまで見たことがない水鳥の集団を見掛けたのです。黒い鳥です。私は全く分かりませんが、カワウかもしれません。とにかく初めて見ました。というより、これまであまり注意深く鳥たちのことを観察したりしていませんでしたから、気が付かなかっただけかもしれません。
遊歩道沿いの看板によると、どうやら芝川沿いには100種類以上の野鳥がいるそうです。鳥さんたちも、やはり、水がなければ生きていけないのでしょうね。
さて、この写真の黒い水鳥ですが、何と言う名前か、お分かりの方はコメントしてくだされば嬉しいです。
銀座などの都会は、コンクリートと人間ばかりで、自然の水鳥に出合うことは滅多にありません。こうして、新鮮な空気の中、「道」を歩いて「楽」しむなんて、これが究極の道楽かもしれません(笑)。
追記
救世主が現れました。未確認の黒い水鳥は、カワウではなく、オオバンのようです。
えっ?初めて聞く名前です。知らなかった…
お知らせしてくださったのは、皆さま御存知の宮さんで、メールで「野鳥写真図鑑」も添付してくださいました。この写真を見る限り、間違いない。オオバンです。クイナ科ツル目で、鶴の遠い親戚なんだそうです。
満洲(中国東北部)で繁殖し、越冬のために、日本に渡ってくるものが多いそうです。渡り鳥でしたか。鳥さんには国境がありませんから自由に羽ばたいてほしいものです。
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