道楽のすすめ

ピアノは道楽か?苦行か? 雑感
ピアノは道楽か?苦行か?

 今年のお正月は、生まれて初めて、諸般の事情がありまして、お節料理が食べられませんでした。また、お屠蘇も飲みませんでした。まあ、あまりお酒を呑む気がしなかっただけですが…。

 今年の私は、占い通りにいきますと、最悪の年になりそうです。もしかして、お正月早々、当たってしまったのか???それではいかんと、思い立ちまして、せめて、気心だけはしっかりしなければいけないということで、今年の緩い目標を決めました。それは、道楽です。楽道ではありません。

道を究めるのが好きな日本人

 日本人はやたらと道を究めるのが好きです。茶道とか華道とか柔道とか日本舞踊とか…家元制度が大好きです。免許皆伝ともなるとウン百万円も費用が掛かると聞いたことがありますから、金銭的に余裕がない人は無理です。それに、楽の道を究めてもしょうがありません(笑)。だから、楽道ではなく、道楽です。

蔦屋重三郎と大田南畝

 そこで参考になるのが、江戸文化です。まさに、今年のNHK大河ドラマは、天明、寛政期の出版編集・プロデューサーだった蔦重こと蔦屋重三郎が主人公らしいので、同時並行でその時代の空気が学べます。歴史上の人物で私が大好きな大田南畝(おおた・なんぽ=1749~1823年)の文藝サロンにも蔦重は出入りし、そこで出会った戯作者に本を書いてもらったりしています。大田南畝は、本名覃、通称直次郎という幕臣ですが、戯作者として寝惚先生、狂歌師として四方赤良や蜀山人など多くの筆名を持っております。

 戯作者というのは、まさに戯れに黄表紙や洒落本などを作る人という意味で、現在の作家のように筆一本で生活できることは稀でした。太田南畝の本職が幕臣であったように、他の戯作者も職人だったり商人だったりしました。ですから、戯作も道楽のようなものなのです。

東洲斎写楽

 また、私も大好きな浮世絵師、東洲斎写楽も蔦屋重三郎が世に出した人ではありますが、本職は阿波蜂須賀家お抱えの能役者で、斎藤十郎兵衛という説が有力です。本職の能役者ではなく、道楽の浮世絵師が世界的に有名になったわけです。

収入の多寡を気にしない

 ですから、皆さんも収入の多寡を気にせず、好きな道楽に打ち込んでみてはいかがでしょうか。有名にならなくたって良いではありませんか。俳句や短歌でもよし、川柳や狂歌でもよし、小説や絵画や彫刻や焼き物でも工芸でも何でも良いではありませんか。

 私は今年、「何もしないこと」が理想的ではありますが、やはり道楽は続けます。もう少し、下手なピアノ演奏を趣味で続けてみようかと思っています。昨年は、NHKで「三ヵ月でマスターするピアノ」みたいな番組をやっていましたが、まず、3カ月では無理です。全く上達しません(笑)。

 年を取ると直ぐ忘れてなかなか進歩せず、苦行に近いのですが、やはり、道楽として続けてみようと思っております。あとは、もう裃(かみしも)を脱いで、少し気を緩めて生きたいなあと思っております。

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