SNS中毒とは他人から支配されているということ

Facebook Wikimedia Commons 雑感
The Facebook mobile app on an Android smartphone (Wikimedia Commons)

 今年は、とみにSNSの影響力を痛感させられました。7月の東京都知事選、11月の兵庫県知事選では、大手珈琲チェーンの創業者がパトロンになった意外なダークホースが上位に顔を出したり、議会で弾劾されて失職した県知事が再選したりしました。

 その陰で「SNSが威力を発揮した」と報じられました。

 新聞、雑誌やラジオ、テレビは、「オールドメディア」として扱われ、影響力も低下しました。

 さて、そこで、かつてオールドメディアの一角である新聞業界の片隅で棲息していた人間の一人として、私の意見を開陳します。オールドメディアの報道が百%正しくて、偏向していないということは全くありませんが、少なくとも、取材記者は現場で裏取りし、デスクが事実関係を確認し、整理部や校正校閲部がチェックするなど、記事は、複数の目が精査して初めて出来上がります。いわばかなりのフィルターが掛かって、ファクトチェックしています。

 一方のSNSはたった一人で自由に発言できますから、誰もチェックする人はおらず、全くフィルターが掛かっていません。事実誤認どころか、故意にデマ情報を振りまくことが出来ます。いわばミニコミ誌みたいなものですが、大新聞のように建前ではなく、本音で書かれていますから、新聞より遥かに面白く、痒い所に手が届く情報と言えるかもしれません。でも、信憑性が不確かなSNSが行き過ぎると、一国の将来に影響を与えることがあります。

ロシアによる介入?

 11月に行われたルーマニアの大統領選挙では、無名で「泡沫候補」と言われた極右・親ロシア派のカリン・ジョルジェスク氏が最多の得票数となり、衝撃が広がりました。しかし、ルーマニア憲法裁判所は12月6日に選挙を無効とする判断をしました。ロシアによる介入やSNSの不正操作の疑惑が浮上したからです。

被害者を中傷

 先日、北九州市のマクドナルド店で中学生の殺傷事件がありましたが、SNS上では、被害者の中学生に対する誹謗中傷や非難の書き込みが多くあったそうですね。「そうですね」というのは私は見ていないからです。ラジオを聴いていたら、そういう話をする大学教授のコメンテーターがおりました。その女性教授は「何も知らない部外者なのに、何でSNSに書き込むのでしょう。黙ってられないのしょうかねえ。黙っていればいいのに」と嘆いておりました。

 はい、確かに正論です。SNSは、今や暴言を吐いて、日頃のフラストレーションを解消する「広場」になっています。関係がない部外者だからこそ黙っていられないのです。しかも、それを喜んで見たり読んだりする無関係な大衆がいるわけです。学者さんは、社会学のための教材としてSNSを見なければならないかもしれませんが、この大学教授の憤り発言を聞いて、私は思わず「SNSなんか見なければいいのに」と思ってしまいました。

高齢者もSNS

 今や若い人だけではなく、私の70歳代後半の多くの友人の皆さんでさえ、最近はテレビを見ず、YouTubeばかり見ているというので驚いてしまいます。SNSは所詮、インプレッション稼ぎ(閲覧数で広告収益を得る)であること、そのために、政治的見解も極論・暴論に傾きかねないという事実を見過ごしているからです。

 まあ、そのことを十分承知してのめり込んでいるのなら、他人の意見に踊らされ、他人の人生を歩んでいるだけですから、「どうぞご自由に」と述べるしかありません。

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