人体に有害なPFAS汚染、あなたの家の水道水にも?

PFAS World 2023 Wikimedia 雑感
PFAS World 2023 Wikimedia

  昨晩放送されたNHKスペシャル「あなたの家の水道水も…!? “PFAS汚染”最新報告 」は、恐ろしくて夜も眠れないほどでした。

 PFAS(ピーファス)とは、焦げ付かないフライパンや防水服など身近な日用品に幅広く利用されてきた有機フッ素化合物のことです。しかし、実はこのPFASには発がん性物質が含まれ、人体に有害だということで国際条約で製造や使用が禁じられました。世界的に有名な米化学メーカー3Ⅿも2020年にPFASの製造を中止しました。

 嗚呼、それなのに、法的義務が整備されていないせいか、世界各国で深刻な被害が報告されているというのです。PFASは土壌に染み込んで、農作物や飲料水となって人体に取り込まれている事例が紹介されていました。それでも、いまだ国や地方自治体による対策が遅れ、普通の主婦の市民が個人的に立ち上がって、京都大学の専門家に水に含まれるPFASの含有値を検査してもらったりしておりました。

 特に、印象的だったのが、岡山県吉備中央町の例でした。2020年、米国が暫定目標値に定めた1リットル当たり50ナノグラムを大幅に上回る1400ナノグラムが水道水(2022年)から検出されたのです。実に基準値の27倍です。何で全国的にそれほど知られていない吉備中央町が? そこで町民らが積極的に調査したところ、水道水の水源となっているダム付近に使用済み活性炭が放置されておりました。その活性炭には大量のPFASが含まれており、雨水とともに、活性炭のPFASが土中からダムに入り込み、それが原因で水道水に大量のPFASが含まれるようになったのではないかと突き止めました。現在は、これら活性炭の廃棄業者との交渉が進み、水質が改善しつつあるようですが、まだ法的義務がないことから根本的な解決策を見いだしていないようでした。汚染源となったこの活性炭に含まれるPFASがどこの会社によって製造されたのかまだ分からないからでした。

 企業名を出さないことで有名なNHKなのに、国内でPFASを製造する化学メーカーとして、ダイキン工業(大阪市)を取り上げ、社側の見解も取材しておりましたが、ダイキン側は、木で鼻をくくったような回答で、見ていても全く要領を得ませんでした。

あなたの住む地域にも

 これらPFASに汚染された地域は特別で、他人事のように見ていた視聴者に冷水を浴びせるような事実が突き付けられました。NHKは番組の途中で、全国の「水道水のPFAS検出状況マップ(最大値)2020年4月~2024年9月」を公開し、バーコードで読み取れるようにしたのです。これを見ると、暫定目標値の50ナノグラムを超過しているのは、東京都のほぼ全域、長野市、群馬県渋川市、岐阜県各務原市、三重県桑名市、兵庫県宝塚市、京都府福知山市、そして岡山県吉備中央市などであることが分かります。

 リンクを貼っておきましたので、ご確認ください。テレビやSNS等で好きな番組を見て、大笑いしながら人生を過ごすことも結構ですが、たまにはこういうことに関心を持っても時間の無駄にはならないと思います。

 「ウチは水道水は飲まず、ペットボトルの水しか使わないから大丈夫」と安心していても、そのペットボトルの水もPFASによって汚染されていないとは限りませんからね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました