11月25日(月)、東京で開催された甲南大学の社会人向け講座「人生100年時代のための脳科学~脳と健康寿命の関わり~」の第3回「運動と健康」を受講してきました。時折、先生御自身の失敗談なども取り入れる前田多章准教授の講義の進め方がうまいせいか、受講している間は分かったつもりでおりました。しかし、自宅に帰って、配られたプリントの講義録を再度読み返すと、ほとんど理解していなかったことが判明してしまうのです(苦笑)。
「腸内細菌叢」「ケトン体」「ディスバイオシス」「糖新生」「神経新生」「バシロータ門」「バクテロイドータ門」…これらは日本語なので、何となく分かるのですが、それらが果たす役割は何ですか? そもそも、どういう意味ですか?などと質問されても、やはり言葉に詰まってしまいます。もしかして、講義内容は大学院レベルなのかもしれません。
腸内環境改善でも運動が大事
この日は3回目の講座でしたが、全体の3分の2は、第1回「健康であること」と第2回「食と健康」の復習、もしくは時間がなくて説明できなかった追加の講義に時間が当てられ、残りの3分の1が「運動と健康」に当てられました。第2回の「食と健康」講座の最後の方で、腸内細菌は脳の疾患にも影響を与え、腸内ブローラ(細菌叢)のバランスが乱れると、炎症性腸炎だけでなく、不安障害やパーキンソン病を引き起こす可能性が高いことを教授してもらいました。でも、そうならないために、腸内環境を改善することが重要だという話で終わってしまいました。具体的に何をしたら良いのか、時間がなくてそこまでお話がなかったのでした。そこで今回、休憩時間にでも質問するつもりでした。そしたら、復習の時間をかなり割いてくださり、腸内フローラに関してもかなり詳しく説明してくださったので、質問するには及びませんでした。
さて、腸内環境を改善するにどうしたら良いのか?ー具体的には①カロリー制限②運動③食事療法でしたが、何てことはない、第1回の講座「健康であること」であった健康を維持するための秘訣である①良質な睡眠②適正な食事③適度な運動ーと重なることが多かったのです。
運動しなければ死ぬぞ!
そこで、第3回「運動と健康」の講義に入りました。「日本人の死亡リスクファクター」という統計がありまして、第1位は喫煙、第2位は高血圧、というのは私でも分かりましたが、第3位は何だと思いますか?ー身体不活動だというのです。平たく言えば、動かないこと。つまり、もっと言えば、運動しないと死亡するリスクが高くなるという意味になります。「ポテトカウチ族(古い!死語か?)になって家の中でダラダラ過ごしてばかりいて、運動しなければ死ぬぞ!」と言っているようなものです。
GLUT4とマイオカイン
運動すれば、GLUT4のトランスローケーションが促進され、インスリン感受性促進効果が発揮され、肥満や糖尿病、心血管系疾患、慢性腎臓病や癌などの防止、それに鬱病や認知機能低下を抑える可能性が高くなるというのです。わざと、専門用語をそのまま使いましたが、GLUT4(グルットフォー)というのは、筋肉や脂肪にあるタンパク質の小胞体で、インスリンの刺激に応じて血液中のグルコース(ブドウ糖)を細胞内に取り込んで血糖値を下げる役割があります。
運動というのは、スポーツ医学の専門用語で「自発的運動」「全身性持久性運動」「レジスタンス運動」などがあります。学者さんは何でも命名することが好きですねえ(笑)。この中のレジスタンス運動とは、高強度運動のことで、骨格筋などの抹消組織からマイオカインが脳に直接的、間接的に作用するといいます。このマイオカインとは、筋肉から分泌される生理活性物質(サイトカイン)の総称で、健康や身体機能の向上に果たす役割があります。具体的には、動脈硬化のリスクを下げ、癌を抑制する可能性もあるといいます。
コンセントリック運動とエキセントリック運動
つまりは、病気にならないためにも、そして、健康を維持するためにも、毎日、適度な運動をしなさい、ということなのです。今は、昔では考えられないぐらい沢山の運動の専門用語があることをこの講座を通して知りました。例えば、コンセントリック運動とエキセントリック運動です。エキセントリックなどと言われれば、何か、常軌を逸した奇人変人のことかと思いましたら、運動専門用語では、「伸張性筋力運動」(筋肉を伸ばす「ネガティブ動作」)のことを指します。具体的に言えば、階段を降りる際、この運動になります。
その逆で、コンセントリック運動とは、「短縮性筋力運動」(筋肉を縮める「ポジティブ動作」)のことで、階段を昇る際にこの運動になります。
要するに、階段を昇り降りするだけで良い運動になるわけですね。だから、「健康になれるのなら死んでも構わない」と思っている私は、駅でもスーパー、百貨店でもエスカレーターは使わずに、階段を使うようにしております。
大正解!だったわけですねえ。
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