大規模修繕、1000万円足りない!

 友人のK君から聞いた話です。

 彼は東京都内のワンルームマンションに住んでいますが、来期の管理組合の理事に順番で回ってきたそうです。そして総会に出席したところ、そこで初めてマンションの大規模修繕費が1000万円も足りないことを知らされたというのです。このところの物価上昇と人件費高騰で修繕費は10年前の1.6倍にも上昇したからです。

 大規模修繕費を捻出するには、長期修繕費を値上げしなければなりません。が、K君の住むマンションは、彼が10年ほど前に中古で購入したのですが、今や築46年の老マンションです。ということは、住人のほとんどが70代、80代以上の高齢者で年金暮らしです。そういうこともあって、管理費や修繕費の値上げに関しては、大半の住人が「払えない」と反対する有様なのです。

 こういう話は全国のどこのマンションでも起こっている事案でしょう。私もいつぞや新聞記事で読んだことがありますが、結局、お金がなくて大規模修繕が出来ないので、「お化け屋敷」状態になっている老マンションもあるそうです。

 K君は来期から管理組合の理事になってしまいましたから、「頭が痛い」とボヤいておりました。

「大地主でも現金なし」

 話は少し飛んでしまいますが、関連した話です。

 私が住んでいる自宅の最寄り駅に近い一等地に広い土地を何カ所も持っているYさんという地元では有名な地主さんがおります。70代後半ぐらいの方です。大地主で大金持ちなはずなのに、外車に乗らず、服装も質素で、小学生の登下校を旗を持って見守ったりする大変奇特な方です。

 Yさんの広い土地には、有名な不動産会社Cの薦めで、賃貸マンションを10棟ほど建てております。それだけあれば、超大金持ちのはずです。しかし、落とし穴がありました。大規模修繕です。1棟当たり修繕費が4000万円も5000万円もするのですから、10棟もあれば5億円も掛かります。他に各戸に備え付けているエアコンの交換費などもオーナーの負担だというのです。

 Yさんは傍から見れば、超大金持ちの大地主で余裕綽々の生活かと思いきや、賃貸マンションは借金で建て、結構、修繕費や固定資産税など莫大な出費を毎年強いられ、総計すれば、他人が思うほど儲かっていないという実体が炙り出されるのです。

 だから、口が軽い不動産会社の社員から「Yさんは大地主だけど、ほとんど現金はないんですよ」と陰口まで叩かれてしまうのです。ということは、地主よりも仲介料や管理費などをビジネスにしている不動産会社の方が儲かっているのかもしれません。

 これが世の中のカラクリなんでしょうか?

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