8月1日に99歳で亡くなった落語家の桂米丸さんがこのほど従五位が贈られました。正直、「随分、低いなあ」と思いました。従五位というのは、大体、小学校か中学校の校長先生を経験した人に贈られる叙位だからです。東大名誉教授など旧帝大出身の学者さんでしたら、従三位か正三位を贈られる人もいます。
米丸さんは、落語芸術協会の会長を務め、紫綬褒章も受章した人です。先に亡くなった、「笑点」で人気だった桂歌丸の師匠でもあり、創作落語の名人でした。それなのに、従五位ですか。
2021年に亡くなった名人・柳家小三治さんも、落語協会会長を務め、紫綬褒章を受章し、さらに人間国宝にまで認定(落語家としては柳家小さん、桂米朝に続き3人目)されましたが、それでも従五位でした。どうも、日本の国家は落語を下に見ているような気がします。
歌舞伎の世界では、昭和の女形の第一人者と言われ、文化勲章まで受章した六代目中村歌右衛門は2001年に従三位を贈られています。
どうやら、国は、芸術家の序列基準は、①文化勲章受章者②日本芸術院会員③重要無形文化財保持者(人間国宝)の順番で決めていることが分かります。①文化勲章受章者は従三位、②日本芸術院会員は従四位、③人間国宝は従五位、といった感じでしょうか。
この順番の通り、①文化勲章受章者には年金はありませんが、文化勲章は文化功労者の中から選ばれます。この文化功労者に選ばれると、年金350万円が贈られます。②日本芸術院会員には年金250万円が贈られ、③人間国宝には年金200万円が贈られます。
これらの年金の原資は税金なので、芸術に関心がない国民でも、叙位叙勲に関しては、興味を持っても良いのです。
結局、作家、画家、漫画家、彫刻家、陶芸家、工芸家、役者、舞踊家、歌手、作詞作曲家…といった芸術家は、国家がランク付けしているということになります。文化庁のお役人さんが決めていますが、お役人さんは素人ですから、審議会をつくって、そこに学者や評論家やジャーナリストら識者を集めて意見を聞いて、それを参考に決めているようです。私は、審議会委員になったことはないので、これはあくまでも推測ですが、「中らずと雖も遠からず」と言えると思います。
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