林家正蔵に聴きほれました

池袋演芸場 Copyright Keiryusai 雑感
池袋演芸場 Copyright Keiryusai

 久し振りに寄席に行って来ました。コロナがあったので5~6年ぶりぐらいかもしれません。今回試しに覗きに行ったのは池袋演芸場です。シニア割引があったからです(笑)。以前は新宿・末広亭や上野・鈴本にはよく行ったものですが、池袋となると10年ぶり、いや、20年ぶりかもしれません。

 出演した噺家さんもマクラに使ってましたが、ここは薄暗い地下の2階にあり、しかもこのビルの何処かで内装工事中で、時折、出演中に騒音が聞こえてくるので、噺家さんもこの騒音まで話のタネにしたりしておりました。

 上野・鈴本は、落語の合間に結構、漫才や手品などが多かったのですが、ここ池袋は、落語がメインで、一人15分と決まっていました(落語以外はウクレレ漫談と紙きり)。最後のトリ(この日は林家正蔵)だけは30分の持ち時間が与えられておりました。

 事前に調べたら、昼の部は午後2時からあるというので、その時間に合わせて行ったら、既に、プログラムに載っていない前座の人が始まっており、平日の昼間だというのに客席は7割近く埋まっていました。通路席は大方埋まっていて、中の席に入れてもらおうかと思いましたら、感じ悪い客が自分の荷物を隣席に置いて、前の机を出して番組表を置いて、他人が入らないようにして、声を掛けても無視するので、しょうがないので横の補助席で我慢しておりました。

 でも、補助席ではお尻が痛くなりだしたので、空いていた右奥の端っこの通路側の席を見つけて、座り直しました。これで、池袋演芸場の「作法」を覚えました。出来れば、午後1時過ぎには到着して早めに席を確保することだということを(笑)。

 池袋演芸場は92席しかないので、何処からでも間近に噺家さんの表情が見えます。私は番組表を見ながら、噺家さんを採点しました。「A」「B」「C」の3段階です。それだけでは足りないので、「A+」や「A-」、それに「B+」を加えました。全部で10人の噺家さんらが登場しましたが、さすがプロ、と言えば怒られるかもしれませんが、「C」の人は一人もおりませんでした。最低は「B」ですが、持ち時間が15分で、マクラとの関係で本題が早口になり過ぎたり、噺自体が面白くなかったりした落語家さんには厳しく採点しました。茲では名前は出しませんけど。

 茲で名前を出すのは「A+」を付けた人です。10日間で、交互にトリを務める柳家三三と林家正蔵です。今回の出演者の10人のほとんどは知らないといいますか、初めて聴かせてもらう噺家さんばかりでしたが、さすがにこの2人は、何度か拝聴したことがありました。やはり、トリを取るだけあって、非常に落ち着いて風格もあり、当たり前のことながら、名人芸ですね。柳家三三は、マクラで、その前に出演した橘家圓十郎が関取のようにかなり重量があって、座布団から立ち上がるのも相当苦労していた光景をソデから見ていたことから、「立ち上がっただけで笑いを取る芸人は他にいませんね」と、楽屋落ちの笑いを取っておりました。やはり、「ツカミ」が抜群にうまい。

 林家正蔵は、言わずと知れた「昭和の爆笑王」林家三平の長男で、若い頃からテレビに出たりしてましたが、久しぶりに御尊顔を拝見して、「あれっ?随分老けたなあ」と思ってしまいました(失礼!)。略歴を見たら今年で62歳になるんですね。いつの間にか還暦を過ぎていたとは! 会社員だと定年ですが、噺家さんは逆で、還暦を過ぎればますます芸に磨きが掛かってきます。今回の演目の題名は忘れましたが、私も何回か聴いたことがある鹿を犬と間違えて殺してしまった正直者与平の古典でした。お笑いというより「美談」なので、なかなか難しいのですが、客席もじっと聴き入って、感嘆させられました。

 林家正蔵といえば、マルチタレントで、ジャズの評論やグルメ評論などを雑誌に連載したりしておりましたが、ちゃんと本業に精進していたことが分かりました。ま、これは蛇足でしたね。

 

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