中野信子著「感情に振り回されないレッスン」を読了しました
中野信子著「感情に振り回されないレッスン」(プレジデント社、2023年10月17日初版)を読了しました。383ページもある百科事典みたいな本なのに、3日ほどであっという間に読了しました。
これは如何に?
この記事の前編は以下をご参照ください。
考えられることは、①以前、何処かで他の著者も含めて読んだことがある記事があったこと②文章が大変読みやすく引っ掛かることが少なかったことーなどです。
158ページの「実力が同じなら『見た目』で決まる」については、2005年にベストセラーになった竹内一郎著「人は見た目が9割」(新潮新書)、160ページの「自分は運がいいと決めてしまうと、実際に運がよくなる」については、斎藤一人著「変な人の書いたツイてる話」「二千年たってもいい話」など一連の「自己啓発書」に同じようなことが既に書かれていましたからね。
生きるヒントを与えてくれる
とはいっても、この本を貶めているわけではありません。むしろ、手元に置いて、落ち込んだりした時に再読したくなる本で、「考えるヒント」や「生きるヒント」を与えてくれる良書だと思っています。日々悩んでいても、人間とは、生物とはそんなもんだよ、と科学的に証明してくれ、知恵と勇気を与えてくれます。
この本を丸写しで引用するだけでは、この渓流斎ブログの存在意義がないので、引用した後、個人的な見解を追加させてもらうことにします。
自分をまいにちほめていると、なりたい自分になれる(111ページ)
⇒本当かなあ? 脳科学者がそう仰るから間違いないかもしれませんが、毎日自分を褒めてなりたい自分になれるなんて、どうも納得いきません。「国家試験に合格すれば、弁護士でも医者でも美容師でも看護師でもなりたい自分になれる」というなら分かりますけど、それでは脳科学論にはなりませんか?
選択に迷ったときは、自分が「面白いかどうか」で決める(159ページ)
⇒これは、「へ~」ですね。参考になりました。私は、洋服選びにせよ、食事のメニュー選びにせよ、事前にしっかりと決めていないで、その場で決めるとなると、まず悩みます。どんな色にするかさえ、気が狂うほど迷います。そんな時、「面白い」かどうかの基準で決めていいとは…。でも、何が面白いのかについて、また悩みそうです(苦笑)。
幸運な人には幸運が、不運な人には不運が起こりやすい(161ページ)
⇒この話は、かなり納得できます。運・不運とは確率の問題で、本来は50%ずつのはずですが、人生は有限で、コインを1万回投げられる人もいれば、10万回投げられる人もいて決して公平ではない。つまり、その人は、幸運か不運のどちらかに片寄っているというのです。著者は、身も蓋もない話ながら、学歴も人の運・不運を左右する要素の一つになると言っております。私は学歴だけではない、と思っていますが、運・不運が人に配剤される確率の割合を一番左右するものは、「日頃の行い」だと思っております。日頃の行いが悪ければ罰が当たると思っています。私は、そういう罰が当たった人間をあまりにも多く見てきましたから、そう確信しています。
心配事の8割以上は、むしろいいことが起きている(287ページ)
⇒へ~、そうなんですか。米シンシナティ大学で、毎日のように不安感にとらわれている人たちを2週間追跡調査したところ、心配していた事の85%で良い事が起きていたという結果が出たといいます。また、へ~、そうなんですか、と言いたくなりました。人間はこれから起きる見えない事象に関して、実体以上に悪く考えてしまうということなのでしょう。それは、最悪な結果が出ることを予想して、実際に起きた時の衝撃を和らげる作用があるのではないかと私は思っています。でも、私は疑い深いので、心配していた事の85%も良い事が起きるなんて、本当かなあと思ってしまいます。短文なので、その調査対象や具体例まで書かれていませんでしたから、もっとその内容を知りたいと思いました。
他人の評価なんて、どうとでも変わるもの(314ページ)
⇒これは、私も声を大にして賛同したいと思います。自分が生き延びるために、人はどんな手段でも取ります。他人は、貴方のことを実は何とも思っていないのです。だから、社会通念や同調圧力には屈せず、他人から振り回されないことが一番だと私も思っています。歴史上、裏切った者が生き延びてきたわけですから、裏切りの遺伝子は現代人もしっかり受け継いでいます。だから裏切られても驚くことなんかないんですよ。相手に対して期待するからいけないのです。「人間は社会的動物だから、人と関わり合っていかないと生きていけない」と良識派の学者は主張しますが、それが正しいわけでもないはずです。他者からの支配や同調圧力に屈するくらいなら、他者と関わる必要はありません。そして、孤立を恐れることもありません。選択に迷った時と同じように、自分で面白いことを見付けて、生き延びればいいのです。(あ、そうそう、この本のタイトルは「感情に振り回されないレッスン」でした!)
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