ゴールドマン・サックスが50年後の世界を予測した「実質GDP実績値と予測」によると、2022年のGDPは(1)米国(2)中国(3)日本の順ですが、2050年になると、(1)中国(2)米国(3)インドとなり、日本はインドネシア、ドイツに続く第6位に転落します。2075年ともなると、(1)中国(2)インド(3)米国となり、日本は、インドネシア、ナイジェリア、パキスタン、エジプト、ブラジル、ドイツ、英国、メキシコに続く12位で、もはや経済大国の面影さえなくなってしまうのです。
日本は極端な少子高齢化で人口減も加速していますから、まあ、仕方ないと言えば仕方ない。「国力」とは「人口」に匹敵するわけですからね。そういった意味で、今年(2024年)、中国を抜いて世界一の人口を擁する国となったインドが、2050年に3位、2075年に2位に躍進するのはむべなるかなです。
同様に、2050年にGDP世界4位に急浮上するインドネシアは、人口が約2億7500万人で世界第4位(2022年)ですから、ピッタリ符合します。それに、日本人には意外と知られていませんが、インドネシアはアジアの経済大国なのです。
私が関心を持ったのは、2075年にGDP世界5位に急浮上するアフリカのナイジェリアです。正直、「なんで?」と疑問だらけでした。いまや、日本でSNSによる「国際ロマンス詐欺事件」で、加害者国としてナイジェリアが挙がって「悪名高い国」のイメージが日本でも広がっているので尚更です。
でも、日本人はナイジェリアの何を知っているのでしょうか? 何も知らないでしょう。これは調べるしかありません。
まず、ナイジェリアは19世紀から長い間、英国の植民地で1960年10月にやっと独立します。公用語が英語ですから、「国際ロマンス詐欺」の温床になるという説もあるぐらいです。国土面積は約92万平方キロメートルで日本の約2.5倍です。人口は約2億1800万人(2022年)で世界6位です。しかも、平均年齢が18.1歳。2050年には人口は4億人となり、インド、中国に次ぐ世界第3位になると予測されています。やはり、国力とは人口力だったということが分かります。石油と天然ガスの埋蔵量が豊富なナイジェリアはアフリカ一の経済大国だったのです。
ただ色々と問題もあるようです。北部はイスラム教徒、南部はキリスト教徒が多く住みますが、民族は250以上もあるといいます。所得格差が拡大しています。NHKの報道によると、人口のうち60%以上が25歳以下で、学歴があっても仕事につけない若者が簡単に高額の収入を得る手段として詐欺を働くケースが少なくないといいます。
外務省のHPによると、ナイジェリアの北東部の危険レベルは4で、「渡航はやめて待避する」勧告です。その理由については、「通貨(ナイラ)の急激な下落、物価高騰、食糧不足、治安上の課題などで、国内の抗議行動の中には過激なものもあり、依然として国内全域がレベル2以上に相当する状況に変わらない」と明記しております。特に北東部などは「イスラム過激派組織の活動が見られるほか、武装集団による村落の襲撃・誘拐事件等が頻発しているので、これらの地域への渡航はどのような目的であれ止めてください」と注意勧告しております。
6月18日付朝日新聞の報道によると、ナイジェリアは、急激なインフレと暴落する自国通貨などで食べ物の購入に苦しむ人々が数百万人と増え、アフリカで第1位の経済大国だったのが、2024年は4位に転落するのではないかと予測されているといいます。
こうなると、2075年のGDP世界第5位になると予測されるナイジェリアですが、安閑としていられません。一部の特権階級による汚職で貧富の格差が拡大しているといわれますから、人為的、政治的問題が絡んでいますから。
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