衆愚化する政治、劣化する日本人

サンプル政見放送(Wikimedia Commons) 雑感
サンプル政見放送(Wikimedia Commons)

  毎日ではありませんが、自分は何のためにこの世に生まれてきたのか、と、ふと思うことがあります。そして、自分は果たしてやるべきことをやっているのか? 真面目に生きているのか? などと自分自身に問うことがあります。

 恐らく、DNAのなせる業なのでしょう。私の両親も先祖も真面目人間だったと聞いていますから、性分だから仕方ありません。

 ですから、他人様にも、同じように「毎日反省しながら真面目に生きるべきだ」などと説くつもりは毛頭ありません。世の中は、出来れば働かないで楽をしたいという人が大半でしょう。私も、人を裏切っても何とも思わない人間と何人も出会っているので、彼らの人生を否定するつもりはありません。彼らは、裏切り者としてこの世に生まれてきたのですから。

 しかし、ここまで度が過ぎると、「いかがなものか」と説諭したくなります。というのも、その人は今、東京都知事選挙に立候補している「公人」だからです。内野愛里さんという方です。「カワイイ私の政見放送を見てね」という政治団体の党首だと自称されています。

 この方、私は全く知らなかったのですが、彼女の政見放送を見た会社の同僚が呆れて、その存在を教えてくれたのでした。そこで、私もYouTubeで彼女の政見放送なるものを見てみました。彼女は、自分の名前を連呼するだけで、政策など一つもなしです。度肝を抜かされたのは、カメラ目線で「わたし、可愛いでしょ?」とアピールし、「このスタジオ暑いから」と言って、服を脱ぎ始めたのです。

 政見放送ですよ! 何か、勘違いしているようです。今の日本、罪を犯さなければ、法に触れなければ、何をやっても自由なんですが、これでは、古代ギリシャに端を発する衆愚政治ではないですか。見方を変えれば、それだけ日本の政治のレベルが劣化し、選挙民も被選挙民も愚鈍化したので、このケースはその象徴に過ぎないということになるのかもしれません。

お断りしておきますが、私自身は、内野愛里さんという人に対して、個人的に恨みも関心すらも全くありません。彼女のような人物がついに日本に登場したのか、と驚愕しているだけです。

 政治と言えば、昔は頭の良いエリートがする神聖な聖職だと思われていましたが、実際は、頭の良くない?二世、三世、四世が「地盤、看板、かばん」を引き継いだファミリー・ビジネスに過ぎず、利権と汚職の温床に過ぎないことがバレてしまったからかもしれません。

 それにしても、私も呆れました。途中で見るのが恥ずかしくなったぐらいです。こういう倫理観も羞恥心のかけらもない日本人が増えたのでしょう。だから、極右の皆さんが「教育勅語の復活」だの「憲法改正し、徴兵制の復活」などと声高に叫び、彼らに同調する人も増えてきたのです。

 今朝は、6月30日に行われたフランス国民議会選挙の第1回投票で移民排斥や自国第一主義を掲げる極右野党・国民連合(RN)が大躍進して最多票を獲得したという最新ニュースも飛び込んで来ました。

 日本もこれだけ自由とリベラルをはき違えている人間が増えれば、その反動で日本でも極右勢力が伸張するのではないかと私は恐れています。

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